【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【12】海月研究所② ~クラゲコラーゲン配合のスキンケア化粧品を通販~

2016.08.31

特集

編集部

現在、海月研究所は、クラゲ由来ムチンとクラゲ由来コラーゲンという2つの素材を抽出・加工し、販売している。特に、唾液や消化液など動物粘液の主成分で、これまで大量生産する手段のなかった糖タンパク質ムチンを安価に大量生産することを実現。すでに変形性関節症などの治療に使われている。

従来、コラーゲンは、ウシ、ブタなどの動物由来のものが一般的。市販されているコラーゲンのほとんどは、牛や豚の骨、皮革、腱、魚鱗などの硬い組織から酸やアルカリ、酵素などを用いて抽出されている。

その点、同社のコラーゲンは、クラゲ由来で海産物であるため、動物由来コラーゲンと異なる。このため、動物由来コラーゲンを禁止しているイスラム認証に適応した素材といえる。

糖タンパク質ムチンの販売に加えて、化粧品原料のコラーゲン液と研究用試薬の販売も行っている。

コラーゲン液は、日本沿岸の天然ミズクラゲから抽出したもの。温度管理によってコラーゲン構造を崩さずに三重らせん構造を維持したまま抽出した希少性の高い中性塩可溶性コラーゲンで、真皮細胞及び表皮細胞の増殖活性が確認されている。また、研究用試薬として、ミズクラゲ由来コラーゲンの細胞増殖活性化剤とビゼンクラゲ由来コラーゲンの「細胞培養基材」を実験用途に合わせて販売。コラーゲン液と研究用試薬は、代理店を介して卸販売している。

現在、同社の売り上げのメインがコラーゲンビジネス。同社は「クラゲ由来コラーゲンの性質が、動物由来コラーゲンと異なることが分かってきた。クラゲ由来コラーゲンの性質を生かした用途開発などに力を入れて、市場シェア高めていきたい」としている。

クラゲ研究所・スキンケアさらに、保湿成分としてクラゲコラーゲンを配合した化粧石鹸やクレンジング、美容液などのスキンケア化粧品(写真)を開発し、自前のオンラインショップを立ち上げてネット通販している。

理研発ベンチャーとして法人化して、現在で9年になる。現在、コラーゲン等の研究開発や生産は、同社の出資者である協力企業が保有する工場や研究施設を活用して取り組んでいる。

引き続き、大学や企業と連携を図ってコラーゲンやムチンの用途開発に取り組むとともに、海外10カ国で物質特許が成立しているムチンの知的財産権を活用して、特許のライセンス契約を推進して行く計画。

いずれにせよ、クラゲの有効活用を図る社会創生ベンチャーとして、いかに天然高分子素材メーカーの地歩を固めて成長していくか、今後の事業展開が一段と注目される。

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