【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【17】アンチエイジングペプタイド② ~VCがプロモーション協力、来年にも抗齢化化粧品実用化へ~

2016.09.16

特集

編集部

大阪大学の教授らは、2005年に発見した新規機能性ペプチドによる線維芽細胞の活性化、血管新生などの多彩な機能に着目し、それぞれの機能に特化したアンチエイジング効果を有する生体高分子( ペプチド) の開発に成功。2013 年に特許出願した。
また、2013年に阪大教授らが、文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクトに「アンチエイジング効果のあるショートペプチドを用いた化粧品・育毛剤の開発」として応募し、採択された。

採択を受けて2013年から2015年までの3年間、ショートペプチドの機能性やペプチド候補を複数配列設計するなどして、化粧品としての安全性・有用性の総合評価を実施。
この結果、アンチエイジングの観点から肌の潤い・張り、活性化が期待できるペプチドについて、ヒアルロン酸合成能(肌への潤い)並びにコラーゲンの収縮能(しわ取り)などを見いだすことに成功した。

これを踏まえて今年4月に事業会社アンチエイジングペプタイドを設立して、機能性ペプチドの事業化に向けた取り組みを本格化している。

こうした法人化や事業化についてプロモーション活動として支援に乗り出したのが、ベンチャーキャピタル(VC)である。

VCは、大阪大学からアンチエイジングペプタイドへの特許活用についてライセンス許諾、権利譲渡、権利の共有、権利の信託譲渡の4 パターンについて比較検討したほか、新規ペプチドの特許性評価や国際出願時の実験データ追加、共同研究で生じる発明の特許出願、ライセンスの覚書締結などについて助言を行った。

事業面での支援については、ターゲットとするアンチエイジング化粧品や保湿化粧品、育毛剤の市場規模や売上高見込みなどを推測した財務シミュレーションの実施や共同研究先企業の紹介・斡旋などを行った。
同社は、VCが紹介斡旋した化粧品企業3社と共同研究契約を交わし、現在、ペプチドに関する共同開発を実施中。
この中の1社とは、2017年にもアンチエイジング化粧品を開発することで合意し、今後、配合や安全性試験等を進めて実用化を図る考え。将来的には、育毛剤など医薬部外品での実用化にも踏み出す方針。

ベンチャー企業が成長発展するうえでVCの協力は、事業資金の調達と合わせて販路開拓や共同開発先の紹介・斡旋は、大きな武器になる。

かつてVCの多くは、投資もするが口も出すというのが一般的。投資することでベンチャー企業の株主となり計数管理に役員を送り込んで、口も出すのが当たり前となっていた。しかし、徐々にVCのベンチャー企業に対する協力の中身も変わってきた。

ベンチャーとしてアーリーステージにある同社の事業は商品が完成し、それをいかに販売し、収益を上げるか、VCの協力と合わせてベンチャービジネスの成果は、2~3年先になる。

#

↑