【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【26】リジェンティス① ~分割ポリリン酸を化粧品、医薬品等へ応用~

2016.10.26

特集

編集部

リジェンティス株式会社(長野県岡谷市・社長 柴肇一氏)は、化粧品、医薬部外品、新規医薬品、医療機器などの開発、製造、販売を行うベンチャー企業。現社長が米大学留学時代から継続して研究していた生体内ポリリン酸(医薬品原料)の事業化を行うため、柴社長の父親が設立した会社を2004年に現社名に変更して事業を本格化させた。

リジェンティス「ポリリン酸」 同社の中核となる技術は、組織再生促進効果をもつポリリン酸ナトリウム(写真)の化粧品、医薬関連製品への応用。ポリリン酸ナトリウムは、組織再生促進効果以外にも抗菌効果、抗炎症効果、毛乳頭細胞の増殖効果、歯石の沈着防止及び剥離促進効果など、種々の生理効果や有効な化学的性質を持つ。

同社の研究開発の要諦を成すポリリン酸ナトリウムは、微生物から哺乳類にいたるまで、あらゆる生物の体のなかにもともとある成分。また、ポリリン酸ナトリウムは、食品にも含まれており、その安全性も担保されている。

ポリリン酸ナトリウムの特性として皮膚組織の修復・再生に加え、抗菌、抗炎症、毛乳頭細胞の増殖、歯石の沈着防止などの生理効果があり、そのエビデンスは実証されている。また、毛乳頭に対する発毛指示・伝達は、発毛情報たんぱく質(FGF=繊維芽細胞増殖因子)によって行われていることが知られている。しかし、細胞の増殖や分化を促す性質を持つFGFは不安定な物質で、発毛指示を安定化することが課題となっている。

同社では、こうした生理機能を持つポリリン酸に注目し、リン酸のつながりによって細胞の再生やFGFの発毛伝達など効能・効果が違うことを発見。そこで、ポリリン酸を特徴ごとに取り出して(分割)FGFを安定化、活性化させることで、毛乳頭への伝達を助ける「分割ポリリン酸」を開発した。

この分割ポリリン酸を使って化粧品や育毛剤、医薬品、医療機器等への応用について、国の研究開発補助制度を活用して積極的に開発に取り組んだ。

これまで補助金を活用した研究開発に取り組んだのは、大学での教職を続けながら文科省の産学官連携イノベーション創出事業費補助金(2001年)を受けて、ポリリン酸を有効成分とする「ポリリン酸ナトリウムの歯周組織再生促進機能を利用した医療機器開発」に取り組んだ。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による産業技術実用化開発助成金の適用(2003年)を受け、歯周病にターゲットを当てた新規医療機器の開発に取り組むなど今日のポリリン酸ナトリウムの生理作用を中核とした新規技術を創出した。特に、組織再生促進効果をもつポリリン酸ナトリウムの医薬関連製品への応用は、きわめて活発に取り組んでいる。
ポリリン酸ナトリウムは、組織再生促進効果以外にも抗菌効果、抗炎症効果、毛乳頭細胞の増殖効果、歯石の沈着防止及び剥離促進効果など種々の生理効果や有効な化学的性質を持っている。
同社は、これらポリリン酸ナトリウムの新規応用性を幅広く権利化し、特に効果の高い「分割ポリリン酸」を商品化して、医薬部外品や化粧品に応用する取り組みを一段と活発化させている。また、ここへきてポリリン酸で医薬部外品の開発などを同時に行いながら、再生医療の研究開発にも取り組むなどベンチャーとしての領域をさらに拡大している。

 

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