【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【28】アーダン① ~シルク化粧品開発で羽ばたく~

2016.11.7

特集

編集部

シルクの成分は、人の肌と同じアミノ酸が集まったたんぱく質からできている。絹はとても肌なじみがよく「自然の素肌」と呼ばれるゆえんだ。
そんなシルクを主原料に界面活性剤を一切使わないシルク仕立て基礎化粧品を開発・販売しているのが株式会社アーダン(鹿児島県奄美市、社長 西博顯氏)である。1995年に両親が立ち上げた現会社を2010年に京大医学部卒の西社長が事業を承継した。

シルク化粧品を事業の柱としたのは、シルクアミノ酸が肌のハリや弾力のもととなるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す源となる、真皮内の「繊維芽細胞」を活性化させること。同時に、シルクは、紫外線などの有害物質を取り入れないようにするための自然の防御機能を持ち、紫外線をカットするなど有効性に着目したことによる。
特に「奄美大島の伝統産業・大島紬の絹に触れながら育ったことが、絹の滑らかな手触りを化粧品に生かせる」と考えたことがシルク化粧品実現を駆り立てた。

研究開発には、シルクの持つ滑らかさを余すことなく美容と健康に生かすため「シルクを基礎の材料とする」「天然の素材を使う」「界面活性剤を使わない」の3つのテーマをテーゼに掲げ、シルク化粧品の研究開発に取り組んだ。

当初の商品「洗顔料」は、商品開発まで3年かかったが、開発段階でサンプルを使った女性スタッフの肌つやがよくなるなどの効果が表れたことで開発に拍車がかかった。しかし、立ち上げ時の洗顔料販売は、決して良くなかった。界面活性剤を使わないため、泡が全くでない商品に対して逆風が起こったことによる。

アーダン「純絹」そんな中、テレビの通販番組でPRする機会があり泡が出ない特徴の洗顔料を紹介したところ、想定以上の反響があり売り上げ増加に繋がった。その後、質を高めて絹の化粧品が選択肢のひとつとなるよう商品開発を強化。以降、現在までに主力商品のシルクスキンケアシリーズ「純絹」(写真)「初絹」とシルクメークアップシリーズなど、基礎化粧品を中心に合わせて約22品目(アイテム)を商品化して市場に投入している。また、国内の販売を強化するため、京都市内にシルク化粧品販売会社アーダン・シルク化粧品株式会社を設立(1998年)、早い段階からシルク化粧品のWeb通販に乗り出すなど国内販売強化に打って出た。

同社が技術開発型のベンチャーとして異彩を放つのは、シルクという素材を化粧品開発に生かし、合わせて界面活性剤を使わないシルク化粧品を実現した点にある。また、奄美市内に自社工場を持ち地場シルク活用の地域活性化にも寄与するなど、ふるさと創生企業としても貢献している。

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