【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【35】アスコルバイオ研究所② ~新商品開発・販路開拓に補助金を積極活用~

2016.12.2

特集

編集部

一般的にビタミンCは、抗酸化作用や美白などの効果に優れた成分。しかし、成分自体が壊れやすく不安定なため、化粧品などに配合してもビタミンCの効果が発揮されにくいという欠点がある。アスコルバイオ研究所は、そんな壊れやすいビタミンCの機能を損なわないようにバイオ技術で人工的にブドウ糖をつけて、安全・安定・持続の三拍子そろった新成分に改良したのがビタミンC誘導体「AA-2G」である。

同社は「AA-2G」を配合するなどして、2005年から安定型ビタミンCサプリメントを販売。2006年には、芳香・消臭剤とノンシュガー甘味料を商品化して市場投入(通販)した。
アスコル美そうした中で、AA-2Gを配合した化粧品「アスコル美」(美容液=写真)は、2014年8月に市場投入するなど商品化は主要商品の中で一番遅い。
アスコル美は、「AA-2G」が美白の有効成分として5%配合されており、医薬部外品の化粧品に比べて3%程度、有効成分が多く配合されている。

こうした商品開発や販路開拓に関わる資金は、政府の補助金制度を活用して充当した。
これまで国や県などの支援制度として採択を受けた主な支援制度は
①国の新連携支援事業
②岡山創生ファンド支援補助事業
③おかやま信金地域活性化支援制度
④小規模事業者活性化補助事業など。

この補助金制度適用を受ける中で2008年2月に採択された経済産業省・農林水産省の異分野連携新事業分野開拓計画(中小企業新事業活動促進法)として、「PROVITAC」(サプリメント)及びAA-2G配合商品の販売促進が、新連携支援制度に認定された。
新連携支援は、2008年度から5年計画で同社を中核に異業種4社が連携体を組んで、高機能な安定・持続型ビタミンC及びその配合商品である高機能食品の企画・開発と製造・販売の促進に取り組んだ。

こうした新連携事業の適用が契機となって、OEM(相手先商標生産)及び商品の自主企画(PB)受託事業に繋げるなど、事業の幅が広がった。また、岡山市内にテニスクラブとレストランを開設し、自社商品を店頭に陳列して販売している。テニスクラブの運営は、スポーツ医学の立場から、有用性のある機能性食品の臨床評価を行う目的で開設した。

現時点においてAA-2G配合の商品の中で化粧品の実用化は極端に少ない。今後ともサプリメントやヘルスケア分野の商品化が中心になる見込み。

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