【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【41】アイ・プルーナ② ~国のベンチャー支援制度活用、中国で保湿クリーム販売許可~

2016.12.22

特集

編集部

アイ・プルーナは、化粧品事業を起業する際に市の相談センターにビジネスプランの作成について指導を仰ぐ一方、海外展開についてもジェトロの支援を仰ぐなど、国のベンチャー支援制度を積極的に活用した。

一般的に、ビジネスモデルを含む事業計画(ビジネスプラン)の立案は、起業を興す前の段階(インキュベータ・ふ化するの意味)で作成するのが常道。それが同社の場合、化粧品を開発・販売を始めてから約1年を経過して、相談センターの専門家の指導を仰いで作り上げた。
いわば、経営の羅針盤を具体的に絵にかくよりも先に商品を開発して、たちどころに販売を始めるなど収益を優先したことによる。

同社は「ベンチャーを立ち上げた当初は、時間的にも経済的にも余裕がなく、よほど意識していなければビジネスプランを作成し見直す意識すらなかった」―。
それが「専門家の指導を仰いだことで、経営の方向性が明確になり、自分では気付かない問題点や新しい視点を認識することができた」という。

海外展開についても日本貿易振興機構(ジェトロ)の海外支援制度を活用した。同社は、会社設立後の早い時期から中国進出の基盤つくりを進めた。

同社が海外進出の足掛かりにしたのは、ジェトロの「アジア・キャラバン事業」へ参加し、中国での販路開拓に取り組んだ。

ジェトロのキャラバン事業は
①中国、東南アジアの複数都市において現地バイヤー(小売店、卸売業者、輸入代理店など)との商談会開催
②商談会開催地等において現地商業施設の視察、日本商品の流通事情等についてのセミナー開催
③メディアを活用したプロモーション活動
④中小企業が開発した商品について現地の消費者の反応を調査しフィードバックする商品モニタリング調査  などを行って販路開拓を支援するもの。

アイ・プルーナは、2011年から3年連続でキャラバン事業に参加し、自社開発の化粧品をPRするとともに展示会への出展に伴う現地バイヤーとの商談・交渉に努めた。

そうした努力が実って2013年には、中国・国家食品薬品監督管理局(CFDA)から保湿クリームの販売許可を取得。また、ブランド名として「葡璐纳・プルーナ」の中国での商標登録を行った。

現在は、中国のバイヤーからギフトセットの需要が舞い込み、バラ売りよりもセットのニーズが増えてきたことから、セット売りの商品を増やしている。また、説明資料についても、海外の消費者ができるだけ日本に問合わせをしなくても済むように、使用量や注意書きについて図形を使ってわかりやすくまとめた。

中国や韓国では、国際見本市などでハンドマッサージなどのPR催事を随時開催しており、「首筋美人」をコンセプトとした化粧品の知名度が海外でも高まっている。引き続き福岡発女性ベンチャーの活躍が注視される。

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