【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【46】アドバンジェン② ~豪セルミット社の傘下に~

2017.01.20

特集

編集部

アドバンジェンは、自社開発した育毛成分「FGF-5」と植物エキスを配合した男性用・女性用のシャンプーと、毛根から生えてきた髪を長く太く育てる男性用養毛剤等を製品化してネット通販主体に販売してきた。また、ビジネスの新たな可能性を探るため、これまでのノウハウを生かして新規育毛原料の受託開発サービスに乗り出した。新規ビジネスの可能性を追求しながら収益の向上を図るのが狙い。

受託開発サービスは、同社独自の培養細胞を使ってユーザー企業等が研究用に収集し、所有するバイオリソースから育毛有効成分を探索し、オリジナルの育毛剤を開発支援するもの。

同社では「毛髪遺伝子研究所をコアにしながら、毛髪研究の第一人者である共同研究先の大学教授陣との連携により、最高の技術水準下で受託開発サービスを実施する。また、スクリーニング用に独自開発した特殊な細胞を定常的に維持しているため、信頼性の高い評価試験が可能。さらに、当社は、化粧品・医薬部外品の製造販売業の許可を取得しているため、探索作業だけに偏ることなくマーケティングも念頭に入れた開発ができる。既存商品の販路開拓のみでなく、新しいチャレンジ、サービスを生み出す新市場・新事業創出の支援とともに必要に応じて臨床試験、薬事承認、最終商品製造まで一括して受注していきたい」と期待を込めた。

ところが同社は、海外の販売を強化する目的で、2011年4月に豪アドバンゲン社と販売提携した2年後の2013年5月に豪の医薬品企業セルミット社がアドバンジェンを買収して傘下に収めた。また、アドバンジェンに対して、バイオ関連に特化した国内ベンチャーキャピタルの「バイオテック・ヘルスケア・パートナーズ」(BHP)が技術力を評価して1億円を出資した。

当然のことながらBHPは、アドバンジェンの中長期事業計画や特許などと合わせて、株式公開の可能性を評価して出資を決めた。
現在、アドバンジェンの株主として、豪セルミット社とBHP社の2社が主要株主となっている。

今後、豪セルミット社がアドバンジェンの加齢疾患の予防・治療に関する研究成果をいかに発揮し、収益を軌道に乗せていくか、が事業の焦点といえる。

ともあれ、産業技術総合研究所の研究者4人が法人を設立して以降、現在では、15年を経過して資本と経営が分離し、株主資本も変わった。豪セルミット社の基で、どんな成長の軌跡を見せるか、注目されるところだ。

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