【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【47】オーガンテクノロジーズ② ~毛のないマウスに移植、毛包を含む皮膚組織を丸ごと再生~

2017.01.25

特集

編集部

オーガンテクノロジーズと理研は、これまで歯や毛包、分泌腺(唾液腺、涙腺)など幅広い種類の器官再生が機能的に可能であることを実証してきた。

特筆される研究成果としてオーガンテクノロジーズと理研は、北里大学との共同研究で、マウスの人工多能性幹細胞(IPS 細胞)から、毛を生み出す「毛包」などを含む皮膚組織を丸ごと再生することに成功した。

%e3%83%9e%e3%82%a6%e3%82%b9%e3%81%ae%e6%af%9b%e5%b9%b9%e5%86%8d%e7%94%9fこの再生毛包原基を毛のないヌードマウスに移植すると再生毛包へと成長し、毛幹(毛)を再生できることを実証した(写真)。皮膚全体をまとめて再生したのは、3社の共同研究が初めてのケースで、研究成果を米科学誌サイエンス・アドバンシーズに掲載した。

再生毛包原基移植による器官再生は、周囲組織である立毛筋や神経と接続すると共に、正常と同様の毛周期を繰り返すなど機能的な器官を再生することが可能。 また、色素性幹細胞を組み込むことにより毛髪の色を制御できるほか、再生毛包原基が再生する毛包器官の数を制御することも可能であることから、脱毛症に対する審美治療への応用可能性が見込まれている。
器官の中で唯一、毛包は、出生後に再生(毛周期)を繰り返す器官であることが知られている。 研究チームは、2012年に成体マウスのひげや体毛の毛包器官から作り出すバルジ領域(毛根幹細胞を作り出す発毛因子)に存在する上皮性幹細胞と間葉性幹細胞(毛乳頭細胞)である毛乳頭細胞を分離し、研究チームが開発した「器官原基法」により毛包原基を再生する技術を開発した。

再生毛包原基移植による器官再生は、周囲組織である立毛筋や神経と接続すると共に、正常と同様の毛周期を繰り返すなど機能的な器官を再生することが可能。 また、色素性幹細胞を組み込むことにより毛髪の色を制御できるほか、再生毛包原基が再生する毛包器官の数を制御することも可能であることから、脱毛症に対する審美治療への応用可能性が見込まれている。さらに研究チームは、IPS細胞 から毛包器官や皮脂腺、皮膚組織を丸ごと含んだ機能的な皮膚器官系の再生にも成功しており、器官再生では世界をリードする技術を蓄積している。

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