【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【51】ナノキャリア② ~セル化ナノ粒子応用の化粧品をアルビオンと共同開発~

2017.02.15

特集

編集部

ナノキャリアの基盤技術「ミセル化ナノ粒子」(100nm以下の粒子)は、血液中の赤血球や血小板等の血液成分及び大腸菌などに比べて小さく、ウイルスの大きさと同じ程度。

この粒子の内部(ポリアミノ酸部分)に薬物を封じ込めたもの(封入したもの)がミセル化ナノ粒子である。また、同社のミセル化ナノ粒子の表面を覆うポリエチレングリコールは、免疫機構から異物と認識されにくい性質を持つことから、粒子を静脈内に注射した後、血液の中を長時間循環することが可能で、より薬の効き目を高めるのが特徴。

こうした中で同社のミセル化ナノ粒子を応用した化粧品開発は、医薬、化粧品業界に大きな波紋を投げかけた。

同社のコア技術「ミセル化ナノ粒子」は、製薬会社と薬物の皮膚吸収試験を共同研究した際に、薬物が真皮や血管を通過せず皮膚に蓄積する性質を持つことがわかった。
同社は、ミセル化ナノ粒子の性質が特に、化粧品に必要な機能であることから皮膚に良いとされるヒノキチオール、ビタミンC誘導体、ビタミンEをミセルに内包して配合した「エクラフチュール-W美容液」を開発し、2010年10月にナノキャリアが市場投入した。同時に、同美容液をコーセーの子会社アルビオンに評価してもらい、2012年7月に両社の間で締結した共同開発契約に基づいて共同研究を開始した。

共同研究は、同社が高分子ミセルのナノ粒子に肌の美しさのためにアルビオンが独自に厳選した美容成分を内包。医薬搬送システム「ドラッグデリバリーシステム=DDS」で肌深部に確実に届けて、美容成分を送り続ける新美容液「エクラフチュール」(写真)を開発し、アルビオンが2013年10月に市場へ投入した。

これに伴い、これまでナノキャリアが2010年10月から販売してきた「エクラフチュール-W美容液」についてアルビオンが商標を継承し、新美容液「エクラフチュール」として2013年10月からアルビオン商品を取り扱う百貨店、化粧品専門店で販売を始めた。

これを契機にナノキャリアの美容液「エクラフチュール-W」は、2013年6月末を以って販売を終了している。また、アルビオンは、2013年10月から販売を始めていた新美容液「エクラフチュール」の販売を現在、中止している。

アルビオンのエクラフチュール販売中止の理由は明らかでないがミセル化ナノ粒子技術が医薬品以外の化粧品分野で活用される意義は、きわめて大きい。化粧品のブレイクスルーにとって欠かせない存在となり得よう。

 

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