【連載】天真堂社長児玉和之氏に聞く天真堂社長児玉和之氏に事業の実態と今後の事業展開について聞く ~2020年にも売上高100億円乗せ、ジャスダック市場に上場も~

2017.04.4

特集

編集部

医薬部外品OEM事業を展開する株式会社天真堂(東京都江東区)の社長児玉和之社長(写真)は、2005年に天真堂の前身天真堂三和(1986年創業、医薬品卸)へ入社し、2008年2月に前オーナーからマネジメントバイアウト(MBO =Management Buyout、経営陣買収)の打診を受けて株式を100%取得し、合わせて社名を天真堂に変更して自ら経営のトップに就いた。以来、来年2月で社長就任満10年になる。そこで、児玉和之社長に事業の実態と今後の事業展開について聞いた。
インタビューの中で児玉社長は、東京オリンピック開催時の2020年にも売上高100億円を実現して株式を公開(ジャスダック市場)することを明らかにした。インタビューの内容は、以下の通り。
聞き手 編集顧問 加藤勇

―来年2月で社長就任満10年になりますが、現在の業容、業態から伺いたい
「薬用化粧品などの医薬部外品(認可品目約50品目)を主力ユーザーの通販事業者約400社に対して自主企画(PB)商品としてOEM提案するとともに、売れる商品の提供と合わせて商品をどのようにして売るか、その仕組みつくりを行ってユーザー支援しています。医薬部外品の商品開発は、製造や書類申請などの期間を含めて約1年程度かかりますが、当社は医薬部外品の承認を得た処方を持っているため、医薬部外品を1週間で納品できるワンストップサービスを実現しています。また、80名の社員が一丸となって通販事業者に対して売れる商品やサービスの提供とあわせて、消費者から商品を継続購入できるようにするための仕組みとしてECサイト制作から物流、通販決済システムといった通販インフラを全て内製化してサービスに努めるなど、他社にない特徴が強みになっています」

―技術開発型ベンチャーとして新製品、新サービスの開発が顕著です。直近では、どのような主要商品・サービスを開発しましたか。また、年間の研究開発投資額は
「通販事業者に売れる商品・サービスを提供するため、昨年は主な商品としてカートリッジ式化粧容器(厚さ27㍉)を開発しました。同容器は、スキンケアで使用するジャー容器をカートリッジ式に改良したもの。宅急便で商品を配送する際、購入者が不在でも自宅ポストに投函できドライバーがポストに投函したことを購入者のスマートフォンに通知する「コネクトハピネス便」(CH便=商標権登録)としてサービスを始めています。この配送の効率化を狙いとした物流の強化と合わせて今年は、化粧容器のインターネット(IOT)技術と人間の使う自然言語などが理解できる人工知能(AI)技術を使った次世代型化粧容器「IOT容器」(特許申請中)を年内にも開発して市場投入する計画です。将来は、化粧品用の容器だけでなく出汁、醤油等食品の容器にも応用するなど、幅広い商品化を図る考えです。昨年の研究開発投資額は約2億円。今年は約3億円を見込んでいます」

―業績は順調ですか。また、中期的にどのような経営目標を立てていますか
「主力の医薬部外品OEM事業は、通販事業者と問題解決を図りながら売れる商品、売れる仕組み作りに力を入れたことが奏功して、2016年12月期(年1回、12月決算)の売上高は、約20億円となっています。今期(2017年12月期)は、機能性表示食品分野に新規参入し、消費者庁から5商品の申請のうち1商品が2月に受理されるなど販売面を強化。同時に、バーチャルリアリティ(VR)やAR(拡張現実)等を活用した3Dメガネを使った販促活動。さらには、CH便の収益向上、医薬部外品OEM受注の好調などを要因に、売上高前期比20億円増の40億円を見込んでいます。また、中期経営目標としてCH便をより進化させて定期オートメーションシステムとして確立することやVR動画などのサービス機能を専用のアプリケーション「テンコミ」(商標登録)に集約し、メディア媒体へと進化させること。また、2011年11月に中国・上海に設立した現地法人「上海天真堂貿易有限公司」(子会社)を介して、今年から日本の化粧品を上海市内のドラッグストアで卸販売とネット通販を始める考えです。
こうした医薬部外品OEM事業、通販ビジネス、物流・流通など幅広い事業を当社がすべてサポートできる体制を構築して、東京オリンピック開催の2020年までに、売上高100億円乗せを実現し、ジャスダック市場に株式を公開する計画です」

―社長就任10年の中で、どのような問題・課題にぶつかりその壁をいかに克服したのか、勇気ある挑戦をうかがいたい
「2013年3月に持株会社(ホールディングス)の移行に伴い、事業別ごとに8社に分社化しました。しかし、コミュニケーション不足で、事業の中核となる人材が育たず経営の効率化が図れないなどの壁にぶつかりました。この時の経験でコミュニケーションの大切さ“企業は人なり„を実感したことはありません。結果として、持株制を廃止し、再度、経営を統合して経営理念の「アイデアをカタチにして世の中の役に立つ」という基本方針のもとに社員を総結集し、全社員一丸となって事業に取り組んだことが今日の会社の成長・発展に繋がっていると考えています」

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