【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【11】若草漢方薬局、古方派を極めて婦人科系のお悩みを解決

2017.04.10

特集

編集部

若草漢方薬局(東京都千代田区)では、『傷寒論』と『金匱要略』を中心とした漢方の古方派による処方を使って、数々の婦人科系のお悩みを解決している。エキス剤から煎じまで、様々な剤型に対応。特に完全ハンドメイドの『桂枝茯苓丸』は優れた効果を発揮し、お客から高く評価されている。

同店は、2009年に前経営者からブランド名を引き継ぐ形で開店した、漢方相談メインの薬局。エキス剤、丸剤、散剤、煎じとさまざまな剤型を用意しており、お客の生活スタイルや体質・症状、予算などに合わせた処方箋を提供できる。このほか、漢方は敷居が高いという人に対して、アロマや化粧品なども少量販売している。

美容関連の製品では、例えば、救心製薬株式会社製の栄養補助食品『亀鹿霊仙廣』が挙げられる。補陰薬の亀板と、免疫力や自然治癒力を養う補陽薬の鹿角をメインに構成。「翌朝、リキッドファンデーションを塗る時、のりがすごく良い。水分不足の人に適していて、“肌を触っていたい感じになる”というお客もいる」(店主、漢方薬・生薬認定薬剤師の吉田淳子氏)といい、洗顔時に良さがわかる商品となっている。

同店では、『桂枝茯苓丸』が人気だ。通常、漢方薬局ではエキス剤や煎じが多い中、同店では原文の通りに忠実に再現した手作りの丸剤を提供できる。5種類の生薬を一つ一つミルで粉砕し、さらにふるいにかけて細かくして、それぞれ1対1の分量で蜂蜜と一緒に練り込む。重さも1個につき兎屎大(ウサギの糞の大きさ)に合わせて1.5gに揃え、手間暇をかけて作っている。「子宮筋腫、子宮内膜症、生理痛に良い実績がある。下準備が大変だが、1個1個にお客への思いを込めている。だから効いている」(吉田氏)と自信を示す。

また、エキス剤の桂枝茯苓丸料では、「体力が中等度以上、そこそこ体力がある人向けになっているため、体が弱いタイプの人には使ってこなかった。しかし、金匱要略にはそのような記載はない。そこで丸剤にしてみると、かなり広い適用範囲で使えることがわかった」(吉田氏)といい、原文に忠実な処方を試みることで新たな発見があったという。同店では、桂枝茯苓丸だけでなく、八味地黄丸や当帰芍薬散などについてもハンドメイドで提供している。

近年はストレス社会と言われるが、来店するお客の多くはストレスを抱えており、「完璧に仕事や家事をこなそうとする頑張り屋さんが多い」(吉田氏)。人によっては疲れるとストレスを感じやすくなるので、補う薬を処方することで体の元気を取り戻せばストレスも楽になることがあるようだ。その人その人の症状に合った処方を選んでいく必要がある。

吉田氏の得意な分野は“冷え”だ。現代は、ちょっとした軽い冷えが多いようで、その背景には、食生活や、湯船につからずにシャワーで済ますなどさまざまな原因が考えられる。また、冷たいアルコール、冷たい清涼飲料水を毎日飲んでいる人も多く、「それでも“私、健康に気を付けています”と自信満々に言う人もいる」(吉田氏)といい、こうした日常の習慣から見直していくことの大切さを強調する。

同店では漢方相談のほか、漢方セミナーも開催。漢方の入門編から気血水、陰陽五行などの基礎知識の講義を店内で行っており、地域の健康づくり活動にも取り組んでいる。「とにかく傷寒論、金匱要略を極めて、お客の“証”にバシッと合せた処方を出してつらい症状を治していきたい。決して背伸びなどせず、地道に身の丈でできるところでお役に立ちたい」(吉田氏)としている。

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若草漢方薬局

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