【連載】化粧品・美容関連ベンチャーの考証㉖投資先ベンチャー探し、事業計画発表大会、資金調達マッチング開催

2017.05.15

特集

編集部

中小機構のファンド出資事業に関する年度別出資約束額は、ベンチャーファンドが1999年度35億円、2000年度72億円、2001年度98億円、2002年度161億円となっている。

中小企業再生ファンドがスタートした2003年度は、ベンチャーファンドと中小企業再生ファンドの2ファンド合わせて266億円、がんばれ中小企業ファンドがスタートした2004年度は、ベンチャーファンド、中小企業再生ファンド、がんばれ中小企業ファンドの3ファンド合わせて446億円にのぼる。特に、ベンチャーファンドの投資先を見つけるため、同機構が日本ベンチャーキャピタル協会や日本ベンチャー学会などと組んで積極的に行ったのが、新市場創出支援活動事業「ベンチャープラザ」と「ファンドイン東京」「ファンドイン関西」と名付けた資金調達マッチング。

ベンチャープラザは、同機構が主催者となって全国9経産局単位で開催しているビジネスプラン発表大会。同機構の各支部から推薦された中小・ベンチャー企業がベンチャーキャピタルの前でビジネスプランを発表することで、資金調達に繋げる狙い。
ファンドイン東京(年4回開催)と関西(年2回開催)は、同機構と同機構の各支部から推薦された中小・ベンチャー企業がビジネスプランを発表することで資金調達を具現化する。投資先としてめぼしい中小・ベンチャー企業があれば、会場と日時を変えて秘密裏に投資を行う。
いずれもベンチャープラザとファンドイン東京、関西の開催については中小企業庁が、中小機構に対して補助金を交付し行っているもので、同機構のベンチャーファンド投資先を発掘するのが狙い。2004年度に中小企業庁は、ファンドイン東京開催費として同機構に1億8000万円の運営交付金を拠出している。しかし、国は、同機構が出資する原資や同機構が出資したファンド運営期間(12年)中にどの位の投資回収(上場によるキャピタルゲインや配当金など)を行い、収益状況がどのようになっているのか。国庫に返還した金額がどのくらいにのぼるのか、など、情報開示が示されない状況が続いた。また、ベンチャープラザ開催時に後援者としてなぜ中小企業庁やベンチャー学会、地域の財団などの官益軍団が名を連ねているのか、その理由や狙いを明確にする必要がある。

一方、同機構は、地域から新事業を創出する中小企業や産学連携の研究開発促進を狙いとしたインキュベータ施設「新事業創出型施設」と「大学連携型起業家育成施設」の建設・整備事業も中小企業総合事業団から継承して行った。
インキュベータ施設の建設・整備は、1999年に新事業創出促進法施行を根拠として本格的に地方自治体と中小機構(前身中小企業総合事業団)に対する補助事業として行ったもの。
国が地方自治体や第3セクターに対して施設建設の公募を行い、採択を踏まえて全国9ヵ所の経産局が補助事業の認定と補助金を執行する。国の補助率は、施設建設額の2分の1。また中小機構に対しては、国が運営交付金(補助金)を拠出して同機構が施設の建設・整備を行う。
インキュベ―タ施設は、国が企業立地や技術集積地が高い「産業クラスター」に指定した地域内を中心に建設・整備された。2004年度に中小企業庁が同機構にインキュベータ施設整備費として産業投資予算から23億円を拠出。また、2004年度に自治体のインキュベータ施設整備費として7億9000万円の補助金を拠出した。

こうした補助事業による1999年から2004年までの6年間に全国に設置されたインキュベータ施設数は、自治体、中小機構、第3セクター合わせて累計で165施設にのぼる。この内、中小機構は、24施設を建設・整備した。また、同機構は、いつの時点からか、全国に整備したこのインキュベータ施設を「ベンチャープラザ」と呼称を変えた。同時に、呼称を変えたベンチャープラザを会場にしてビジネスプラン発表大会「ベンチャープラザ」を開催するなど意味不明な行動に出た。また、2004年10月に証券会社の店頭で相対取引してきた店頭市場を証券取引所のジャスダックに業態と組織を変更した。

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