化粧品のM&A動向2年間で化粧品会社買収、資本・業務提携が22件に(上)

2017.04.20

特集

編集部

化粧品業界の企業買収や資本・業務提携が2015年から2017年4月現在までの約2年間で22件に上ったことが、美容経済新聞社の調査で明らかになった。この中で資生堂の主な企業買収等の案件が3年間で5件とトップを占めているほか、押しなべて小売りの強化やこれまで空白地帯となっていた美容サロンの進出などを意図した資本・業務提携の動きが見られる。

2015年から2017年4月までの化粧品各社のM&Aを巡る動きの中で、2014年度に売上比率が日本国内47%、海外53%とグローバル企業とへと変化を遂げた株式会社資生堂(東京都中央区)は、2016年6月に連結子会社でアメリカ地域本社の「Shiseido Americas Corporation」(本社・米国デラウェア州)は、プレステージ市場においてメークアップおよびスキンケアブランドをグローバルで展開する「ガーウィッチ社」(米国デラウェア州)の全持分を取得することで、同社の親会社「Alticor Inc.」(アルティコア社・米国ミシガン州)と合意し、契約を締結した。
2016年10月には、ユニ・チャーム株式会社(東京都港区)とライオン株式会社(東京都墨田区)との間で、小売店の売り場作りなど店頭の販促分野で提携した。オーバーストア(店舗過剰)やEC(電子商取引)の台頭などによる「店頭の危機」を脱却し、店頭販売を強化する狙い。
子会社の売却も行った。2015年7月に子会社の株式会社アユーララボラトリーズ(東京都渋谷区)の株式および関連資産を株式会社アインファーマシーズ(東京都渋谷区、調剤薬局国内シェア1 位)に譲渡した。

同社は、4つのブランド軸(プレステージ、コスメティックス、パーソナルケア、プロフェッショナル)と6つの地域軸(日本、中国、アジア、米州、欧州、トラベルリテール)を掛けあわせた新組織体制を構築し、経営の効率化と収益の向上に取り組んでいる。引き続き、企業買収、資本・業務提携等の意欲は強い。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(東京都中央区)は、2016年10月に連結子会社の「株式会社PDC」と「株式会社フューチャーラボ」2社の株式譲渡を決定。PDCは、株式会社山田養蜂場(東京都中央区)に12億円で譲渡。また、フューチャーラボ社は株式会社ファーマフーズ(京都府右京区)に12億円で譲渡した。
コーセーは、株式会社ミルボン(大阪府大阪市)と資本・業務提携を交わした(2017年1月)。今年6月にも共同出資による合弁会社を設立して美容室向け化粧品の開発・販売を行う計画。
美容室ルートを持たないコーセーと高級化粧品市場にルートを持っていない両社の思惑が一致して提携に発展した。

 

 

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