【連載】化粧品・美容関連ベンチャーの考証㉜“出でよ„女性化粧品ベンチャー、女性の社会進出・雇用創出に期待

2017.05.29

特集

編集部

化粧品業界において化粧品研究の技術者がスピンアウトし、化粧品ベンチャーとして独立・開業するケースは、ほとんど見られない。この点が古い業界制度を今もって死守し、それを打破して新たなイノベーションをわき起こす新潮流の波が見られない要因と捉えることができる。
この業界の古い体質やイノベーションの改革不足が、ベンチャーの輩出を抑制している原因と見ることができる。

化粧品や美容分野は、若年層や女性が活躍する分野とはいえ、研究開発型ベンチャーの輩出に関しては、力強さが欠ける。
これまで行政主導型のベンチャー政策を時系列に投資、ベンチャー輩出、金融支援、株式市場、ファンド、金融恐慌などについての政策論を論評しながらベンチャーの輩出による経済の活性化についてみてきた。しかし、行政主導型ベンチャー政策は、こと化粧品ベンチャーの創出による業界のダイナミック性が欠けるなど、見るべき成果はほとんど見られない。化粧品の候補物質の探索研究は、ほとんどが大学で行われ大手企業と大学との共同研究によって化粧品事業が行われているため、ベンチャーが基礎研究から参入して事業化することは、皆無に近い。その意味で、化粧品業界の古い慣習を打破した新進気鋭の化粧品ベンチャーの登場が羨望されるゆえんだ。

最近では、最先端技術、新製品、新サービスを開発する技術開発型ベンチャーとはいかないまでも、手に届くような化粧品の新たな事業化に着手する女性ベンチャーの創出に期待するところが大きい。
連載の最終回に当たり、化粧品ベンチャーの輩出に伴う女性の社会進出や女性の雇用促進等をにらんだ行政の新たな女性化粧品ベンチャーの創出についての具体的な政策が近々の課題として浮上してきたといえる。
女性ベンチャーの輩出をより加速するために国の金融機関の女性向け融資の緩和や金融保証制度の拡充、VCやファンドとの投資見合いの活性化など、事業スタートアップ時の国の支援制度をさらに加速させることが重要。また、事業が立ち上がる中で販路拡大、販促支援などの充実が望まれる。商工会議所での縁故債発行による金融調達支援も力を入れて取り組むことが必要だ。
化粧品ベンチャーとして活躍したいと考えている多くの女性にとって、ハイテクな技術を使って新製品を開発する高度な事業活動ではなく、ローテクで自ら手が届く普段から関心のある知を創造したビジネスに挑戦することから新事業をスタートしてみてはどうか。それが多くの女性にとってベンチャー=冒険者たるゆえんといえる。

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