【連載】創業100年・老舗化粧品会社の研究①伊勢半グループ(上) ~創業192年、7社でグループを形成~

2017.05.23

特集

編集部

老舗とは、代々続いて 同じ商売をしている格式・信用のある店。または、先祖代々の家業を守り継ぐことを意味する。化粧品業界においてもそんな老舗で伝統のある化粧品会社が国内に存在し事業を活発におこなっている。

現在、化粧品業界において創業100年を超える老舗化粧品会社は、約30社程度と推計されており化粧品製造・販売事業会社数約3620社のうちのわずか0.8%程度を占めるに過ぎない。その中には、老舗として名高い大手化粧品会社が存在感を示しながら化粧品業界をリードする一方、伝統の重みを生かして事業を成長軌道に乗せた中堅・中小規模の老舗化粧品会社も見受けられる。そこで創業100年を超える老舗化粧品会社にスポットを当て事業の実態や成長の軌跡に迫った。

「創業100年・老舗化粧品会社の研究」①伊勢半グループ

伊勢半グループは、江戸時代後期の文政8年(1825年)に東京・日本橋で創業した紅製造問屋「紅屋」をルーツとする化粧品メーカー。現在、国内外に設立した7社で伊勢半グループを形成する。
7社の個別事業は、財務・経理・人事などの本社機能及び産業遺産「紅ミュージアム」の運営・管理を行う株式会社伊勢半本店(東京都千代田区)をはじめ、グループの中核的存在として君臨する株式会社伊勢半(東京都千代田区、1947年設立)、化粧品、化粧用具、医薬部外品全般の開発・販売を行う株式会社エリザベス(東京都千代田区、1953年設立)、ファンデーションを中心とするベースメイク商品の企画販売を行うマーシュ・フィールド株式会社(東京都千代田区、1968年設立)、グループの主力工場で化粧品等を生産するアイカーケミカル株式会社(埼玉県川口市、1970年設立)、それに、中国国内販売用の化粧品を生産する伊勢半天津(2007年設立)と中国におけるマーケティング・販売を担当する伊勢半上海(2011年設立)が、それぞれ収益の向上を目指して事業に取り組んでいる。2017年3月現在、グループの従業員数は、314名、業績は非公開。

このグループ7社の中でグループの中核的存在となっているのが、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、医薬部外品など化粧品全般の製造・販売を行う伊勢半である。
現在「ヒロインメイク」、「ヘビーローテーション」、「マミー」など約20のブランド約1000アイテムの化粧品を主にドラッグストア、量販店、バラエティショップ向けに代理店を介して卸販売している。中でも肌荒れ・保湿ケア「キスミー薬用シリーズ」は、1974年に誕生したキスミーハンドクリーム(写真)を中心に、今でも熱心なファンに支えられてロングセラー商品となっている。

このように多くのカスタマーに受け入れられ、マーケットを創造できるロングセラー・ヒット商品を生み出している理由は、「シーズ発表会」の存在が上げられる。
同発表会は「研究職側」から意見発信を行なう場で、研究者が自らの研究をもとに「この技術を使えば、こんな性能を持つ製品を作ることができる」と、新製品の“種”を提案することで化粧品の開発促進に繋げている。

海外展開は、1966年に台湾に進出して以来、中国・天津、上海に現地法人を設立するとともに韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、カンボジア、カナダ、アメリカ等に伊勢半グループ商品を輸出販売している。
引き続き、海外への販路を拡充および営業体制を強化するなどして、海外市場拡大に向けグループ一丸となって取り組む方針。

#

↑