ドラッグストア各社の化粧品事業(最終回)大手ドラッグストア各社のPB化粧品事業 ~化粧品、美容関連の新業態店出店に力~

2017.10.13

特集

編集部

大手ドラッグストア10社を対象に各社の自主企画化粧品(PB化粧品=プライベートブランド)事業についての取り組みと動向について取材・連載した。PB化粧品の取材を通じてドラッグストア各社が利幅の高いスキンケアやメーキャップ製品等の自主企画(PB)化粧品の開発・販売に乗り出すとともに、化粧品や美容関連商品を大幅に増やした新業態店を開設するなど、働く女性を意識した新たな店作りに取り組む動きが鮮明になった。

ドラッグストア各社の化粧品売り上げは、大手化粧品メーカーのナショナルブランド(NB)の仕入れ販売と自主企画したPB化粧品の売り上げを合算した化粧品売上高がOTC医薬品(一般用医薬品)に次ぐ売り上げ規模にあり、各社がこぞって化粧品販売に力を入れていることが明らかになった。
化粧品販売の強化要因は、化粧品の1品当たりの単価の粗利益が高いこと。同時に、自社ブランドの化粧品を自社のドラッグストアで販売することで相乗効果を生み出し、合わせて事業の付加価値を高める狙い。但し、PB化粧品への食指を伸ばしている半面、PB化粧品の売上構成比率については、各社押しなべて明らかにしていない実態が明らかになった。このことは、PB化粧品が収益を押し上げるまでには至っていないことが言える。

このため、ドラッグストア各社は、化粧品販売強化とPB化粧品の売上増加を狙って都市部や商業施設内などへの出店を増やす動きが顕著になってきた。
株式会社マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市)は、2017年6月に東京・銀座の中央通り沿いに新業態店「ビューティーユー」をオープンした。
ビューティーユーは、日用品や食品は一切置かず薬の取り扱いは地下1階の一部のみで、販売商品の約9割が美容関連アイテムで占める。
株式会社アインファーマシーズ(北海道札幌市)は、今年7月に新宿駅東口駅前の商業施設「ミラザ新宿ビル」地下1階から地上2階に化粧品販売を前面に押し出した「アインズ&トルペ新宿東口店」をオープンした。株式会社資生堂(東京都中央区)から買収した化粧品「アユーラ」ブランドとオリジナルブランド「リップアンドヒップス」を展開する新生「アインズ&トルペ」の旗艦店だ。化粧品を中心に2万品目を揃える。目標とする年間売上は、6億5000万円、荒利率40%を見込む。
株式会社クリエイト エス・ディー(神奈川県横浜市)は、今年3月に千葉県市原市に化粧品強化の新型店を開設した。売り場面積760㎡のうち約5割が化粧品売り場で占める。
ウエルシアホールディングス株式会社(東京都千代田区)は、昨年6月にビューティケアとヘルスケア、調剤を融合させた24時間営業の「ビビオン日本橋店」を開設した。

こうした都市部や商業施設内に新業態店舗の開設の流れは、2017年になっても加速している。働く女性の社会進出やオリンピック開催に向けて、化粧品・美容関連商品の需要増加を見込んだドラックストア各社の新業態店開設の意欲は強い。
表にドラッグストア10社の決算期別総売上高と総売上高に占める化粧品売上高及び化粧品の売上高に占めるPB化粧品を明らかにした3社のPB化化粧品の売上比率を参考として示す。

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