幹細胞コスメの最近のトレンド日本メナード・幹細胞研究に拍車 ~表皮幹細胞と真皮幹細胞が存在する場所を特定するなど成果~(上)

2017.11.20

特集

編集部

幹細胞(ステムセル)コスメの姿が徐々に表れてきた。ヒト由来の幹細胞等を培養した液を化粧品に配合してエイジングケア化粧品の新機軸を顕著に打ち出しているのが日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市)である。

同社は、他社に先駆けて2003年という早い時期から皮膚の幹細胞研究やシミ・ソバカス予防の美白研究などに取り組み、日本再生医療学会などで研究成果を発表してきた。そこで、幹細胞コスメの最近のトレンドとして、日本メナード化粧品の幹細胞コスメの研究開発やビジネスの動向等に迫った。

現在、幹細胞コスメ培養液の原料となっているものとして、植物由来幹細胞、動物由来幹細胞、ヒト由来幹細胞の3つがある。
この中でヒトと植物の幹細胞は、構造が全く異なる。ヒトの細胞には、レセプターという特定の形をした鍵穴があり、その鍵穴に合致した鍵が結びつくことで、遺伝子情報を元に様々なたんぱく質が作り出される。ところが、植物の幹細胞に鍵穴の構造はないため、ヒト幹細胞と同じ効果は期待できない。
また、動物由来の幹細胞は、アレルギーの問題や原料の安全性の問題などから日本国内での使用例が少ない。

ヒト由来幹細胞は、実際に人の脂肪から抽出した成分からできており、人間の幹細胞を培養したときに分泌する生理活性成分「ペプチド」を精製してつくられ、エイジング効果が高いのが特徴。また、脂肪由来の幹細胞は、さまざまな成長(増殖)因子(細胞に情報を送るたんぱく質。線維芽細胞成長因子、塩基性線線維芽細胞成長因子、毛母細胞成長因子等)を含んでいるのが特徴。

こうした中、同社は、他社に先駆けて幹細胞に関する研究を革新的に取り組んできた。
主な幹細胞の研究開発として
①皮膚の幹細胞の研究(抗老化)
②首のシワ、タルミの原因を幹細胞研究から解明
③色素幹細胞の研究を応用したシミの発生原因の研究(美白)
④香りで幹細胞が元気になる(心理的効果)などに取り組み、その成果を2005年から定期的に日本再生医療学会や国際研究皮膚科学会などで発表するなど高い評価を得ている。

最近の研究として2016年に藤田保健衛生大学や名古屋大学との共同研究で、表皮幹細胞と真皮幹細胞が存在する場所を特定。また、その場所が加熱により縮小していることを確認した。さらに、共同研究によりたんぱく質などの分布、所在を捉え、その動態を画像として解析する「バイオイメージング技術」を用いて、肌の凹凸の頂点付近に真皮幹細胞が真皮の上部に存在することを特定した。

表皮幹細胞の周りには、表皮幹細胞の基底層に留める役割の「ラミニ332」(3つの鎖の番号を組み合わせたもの。つまり、α3,β3、γ2 の3 鎖からなるという意味)が多く存在していること。また、真皮幹細胞の周りには、真皮幹細胞を真皮上部に包んで留める役割として「タイプ5コラーゲン」(5種類のコラーゲン)が多数存在していることを明らかにした。

図に紫外線や活性酸素などによる幹細胞減少の原因解明を示す。

 

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