【連載】大手化粧品会社の研究②シーボンの会社研究 ~「新たな顧客開拓」など3重点策の新経営計画推進~(下)

2018.02.2

特集

編集部

シーボンの研究開発は、有効成分の探索及び処方開発を担当する生産部門の研究課と企画を担当する社長直属の開発課が連携して研究開発活動を行っている。こうした中でオープンイノベーション強化の一環として「フェイシャルマッサージ効果評価測定法の確立」(顔面皮膚のひずみ分布を評価指標する方法)を目指し、青山学院大学との共同研究成果を学会等で発表、特許出願をおこなった。

同社は、全国に111店舗(2017年3月末)の直営店を有している。出店に当たっては、商業集積地区で高い集客が見込める物件を出店基準としている。

業績(非連結)は、2017年3月期売上高が前年比3憶4000万円減少の124憶9000万円(前期比2.7%減)となった。
現在の主力製品は、スキンケアで2017年3月期において売り上げ全体の95.6%を占める。また、同期における販売チャネル別売上比率は、直営店舗96.7%、売上高120憶8000万円(前期比0.7%減)、通販売上2憶2500万円(同3.9%増)、国内販売代理店売上1億5500万円(同6.6%減)、海外代理店売上2800万円(同12.4%減)となっている。
2017年3月期の新規売上は12憶6000万円、アフター売上106憶9000万円となっている(図・財務情報を参照)。また、2018年3月期の業績見通しは、売上高126億円、営業利益3億5000万円、利益2億1000万円と増収増益を見込む。

こうした中、同社は、業績等の状況を踏まえて中期経営計画の見直しを行い、新たに2018年3月期から2020年3月期までの新中期経営計画を策定した。
同経営計画では「新たな顧客の開拓」「現場力の向上」「より強いブランドへ」の3つを重点課題として、2018年3月期においては、直営サロン展開の強化を図るとともにシーボンブランドの価値を磨きあげ成長性を高める。
具体的な施策として
①新たな顧客の開拓として法人営業に力を入れ新たなイベントプロモーションを展開するとともに美容スタッフとPRスタッフの連携を強化し店舗主導でのイベントプロモーションを推進。また、新規顧客のカウンセリングを担当するフェイシャリストの育成と教育体制を強化し新規顧客の開拓を図る。さらに、テレビを中心とした通販の強化により新規顧客の開拓を進めるとともに女性用ウイッグの取扱店舗を全国に拡充し顧客との接点を広げていく。
一方、潜在する顧客との接点を拡充するため新たに立ち上げた「事業開発本部」の元、直営店舗以外の販売チャネルを集約し販売チャネル拡大への基盤つくりを進める。通販については、テレビ通販を中心に強化し新規顧客へのアプローチを図って行く。また、2016年6月より取り扱っている女性用ウイッグについても、全国の美容室との連携を進め2018年3月期には全国73店舗で取り扱いを拡大する。
②現場力の向上についての具体的施策として同社は、女性社員が約92.7%を占めており、人事制度として育児休養制度の拡充を図り、人身の定着、教育体制の強化等を図って行く。
③強いブランドの施策として市場ニーズに対応できる開発体制を構築するとともに、顧客への提案を行うため新しい「肌解析システム」を導入してカウンセリングを強化する。また、顧客満足度とコミュニケーションを進化させるため、顧客の年間購入金額に応じて4つの会員ステージ(ホワイト、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンド)を整備するなど、ブランドの成長に繋げる計画。

#

↑