【連載】大手化粧品会社の研究⑤アイビー化粧品の会社研究 ~販売会社と信頼関係構築、老化防止用外用剤の特許取得~(中)

2018.02.15

特集

編集部

アイビー化粧品が取引・販売形態する中で化粧品売上高は、販売会社等へ出荷した金額で占める。したがって販売会社の増減や1販売会社当たりの購入量の増減によって収益に大きく影響する。また、同社と販売会社との間には、資本関係及び人的関係はない。しかし、同社は、販売会社に対して訪問販売に関わる販売支援活動を行うなど、強固な信頼関係、補完関係が構築されている。
その代表的なケースとして、販売会社などが展開するサロン開設の推進。「アルテミスサロン」と名付けたサロンの多店舗展開は、訪問販売を補完する役割と位置付けて打ち出したもので、販売会社の売り上げや顧客獲得数を増やすのが狙い。販売会社や営業所が主体となって開設・運営しているアルテミスサロン店舗数(アルテミスザ・ショップとアルテミスザ・ルーム)は2017年3月現在で100店にのぼる。

ところで同社の技術開発も注目される。中でも老化防止用皮膚外用剤(写真)の特許取得(2015年3月)は注目に値する。
同外用剤は、ホエイタンパクとワサビノキの抽出物及びアセチルテトラペプチドからなる1種または2種以上を含有する抽出物(抽出溶媒により抽出)で、皮膚真皮内の線維芽細胞を活性化することにより、皮膚の加齢に伴う変化を防止し得る老化防止用皮膚外用剤に関する技術。
同社の特許は、年齢とともに弱っていく真皮の細胞を元気づける成分の組み合わせに特徴がある。

真皮の細胞は、肌の結合組織の中にあるコラーゲンやエラスチンを生み出し、シワやたるみと大きく関わっている。真皮の細胞が元気に分裂を繰り返し、つねに新しい細胞を生み出すことができれば、肌のハリは保たれる。そこで着目したのが、再生医療の考え方。肌本来の機能を取り戻すために、細胞を元気づけ、活性化できる成分はないか、実験を繰り返した結果、数多くの成分の中から有用性が認められた成分を選定することができた。その結果、3成分の独自の組み合わせを発見。この発見を活かし老化防止用皮膚外用剤として特許を出願。出願から4年後の2015年3月に特許を取得した。

同社が老化防止用皮膚外用剤を開発した背景には、生体において重要な役割を持つ線維芽細胞が加齢による新陳代謝の低下に伴い減少し、老化の進行などの要因となり、改善する対応策が望まれていたこと。これまで細胞培養時に細胞賦活剤として添加されるウシ胎仔血清の代替品などは開発されているが、皮膚外用剤においては、血清に替わる細胞賦活剤は開発されていなかったことによる。

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