【連載】大手化粧品会社の研究⑦ミルボンの会社研究 ~サロン経営の強化で生産性向上を図る~(上)

2018.02.26

特集

編集部

業務用ヘアケア化粧品の総合メーカー株式会社ミルボン(東京都中央区)は、シャンプーやトリートメントなどのヘアケア剤をはじめ染毛剤、ウェーブ剤の3商品を主体に開発、製造、販売を行っている。
1960年にユタカ美容化学として創業。1985年に仏ウジェ―ス社と提携しヘアーカラー分野に参入。2001年には、東証2部から東証1部に上場した。さらに2017年11月に本社を大阪から東京・京橋に移転した。2004年3月に連結対象の子会社を米国に設立したのを皮切りに中国・上海、韓国、タイに4現地法人(連結対象)を設立。また、タイに生産工場を建設するなど、海外での事業活動を活発化している。

前期(2017年12月期)の業績(連結ベース)は、へアケア用剤がバージョンアップ効果で順調に伸長したことから、売上高334億5600万円、営業利益53憶4500万円、利益38億1700万円となった。
前期の売上高に占めるヘアケア剤の売上高は195憶1100万円、構成比58.3%、染毛剤120億9500万円、同36.2%、パ―マネントウェーブ剤15億6900万円、同4.7%、その他2億7900万円、同0.8%となっている。また、前期における国内と海外の売上比率は、前期の86.8%から3.2ポイント減って83.6%に減少。また、海外の売上比率は、前期の13.2%から16.4%に増えている。

今期(2018年12月期)の業績は、サロンの労働生産性の向上に取り組んだ。美容業界は集客と採用がさらに厳しさを増すなか働き方改革が問われており、スタッフ一人当たりの生産性や時間当たりの生産性の向上が欠かせなくなっている。また、客単価は、高単価サロンと低単価サロンの「2極化」が進み「労働生産性」を向上していくには、生涯美容師が育ち続けるために人と教育を中核としたサロンの組織創りと技術と店販による客単価アップが重要と判断。美容室のあり方・対応は今後「サロンならではの顧客のキレイを売ることとサロン店販のビジネス化への挑戦へと変わってくる」としてサロンの収益向上に取り組んだ。また、顧客である女性に対するサロンで提供できる2つの時間価値(来店で過ごす時間に対する価値=滞在時間価値と顧客が生活の中で、日々のキレイを感じる時間に対する価値=生活時間価値)の向上についてサロン経営を徹底。
こうしたサロンに対して顧客の生涯美容を叶える「ライフタイムビューティー」を発信し、経営の強化策に取り組んだことが功を奏して今期業績見通しは、売上高340億円、営業利益57億4000万円、利益39億9000万円と増収増益を見込む。

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