【連載】化粧特許と知的財産権①コスメディ製薬、微細針で薬剤を体内に投与するマイクロニードル技術開発(上)

2019.05.8

特集

編集部

編集企画連載・「化粧特許と知的財産権」について

美白やしわ・たるみ、乾燥肌・敏感肌の改善を謳っている「機能性皮膚化粧料」と呼ばれるスキンケア化粧品に対する消費者の期待はますます高まっている。それに伴い「機能性皮膚化粧料」の研究開発は、「機能発現成分」と「機能性皮膚化粧料の製剤設計」などの技術を中心に開発競争が一段と熾烈さを増してきた。化粧品分野における開発競争は、おのずと特許の取得と特許に裏付けされた技術・サービス力から生じる知的財産権として新たな収益を生み出すことにつながる。化粧特許、皮膚特許、美容関連特許等は、化粧品企業のみならず製薬会社、バイオ・技術開発型ベンチャー、化学など多様な業種の大手・中小企業群が化粧関連の新技術を開発して特許化し、特許を有効活用して特許の使用許諾や技術供与、ロイヤリティ収入、新製品開発等などの知的財産を生み出す動きがより鮮明になっている。
そこで、美容経済新聞社では、企業が取得し権利化した代表的な化粧特許・応用特許、皮膚特許等から生み出す知的財産権の活用について企業別(約50社予定、1社あたり2~3回連載))の取り組みに迫った。

 

第1回 コスメディ製薬、微細針で薬剤を体内に投与するマイクロニードル技術開発(上)

コスメディ製薬株式会社(京都府京都市、未上場)は、京都薬科大学ベンチャー企業。2001年5月に経皮伝達システム「TTS」 ( transdermal therapeutic system )の基礎研究を基盤として起業化した。
2006年6月には、会社名をコスメディ製薬に変更し、インフルエンザワクチンやインスリンなど高分子薬剤の注射に代わる投与法についての研究を開始。以降、「薬」「皮膚」「浸透」の3つをキーワードに「痛みがなく」、「簡単に」、「確実に」をコンセプトに薬剤を体内に取り入れる方法を研究・開発に取り組んだ。
2008年7月には、化粧品製造業の許可を取得。同年11月に薬剤成分を体内へ取り入れる薬剤伝搬・伝送技術DDS(ドラッグデリバリーシステム)の新たな手法として、ヒアルロン酸を素材とした微細な針を貼るだけで簡単・安全に高分子成分を皮膚内にリリースできる「溶解型・非溶解型マイクロニードル技術」(特許取得)を開発、実用化に世界で初めて成功した。

コスメディ製薬がこれまでに出願した主なマイクロニードル関連特許は
①マイクロニードルの先端部のみに薬物を保持させたマイクロニードルアレイとその製造方法を提供する「マイクロニードル溶着法」
②マイクロニードルの先端部のみに薬物を保持させたマイクロニードルアレイとその製造方法を提供する「マイクロニードル迅速溶解法」
③マイクロニードル部分に医薬的に有効量のDNAワクチンを含有させたマイクロニードルアレイを提供する「DNAワクチンマイクロニードル」
④皮膚表層又は皮膚角質層に折れることなく容易且つ均一に刺入でき皮膚表層、皮膚角質層において容易に溶解するマイクロニードルを提供する「経皮吸収製剤とその製造法」などがある。

この中で、工業的製法を確立して開発した溶解型マイクロニードルは、次世代の経皮吸収技術として注目されている体内へ安全で効率的に薬物や有効成分の浸透を促す薬物伝送技術「ドラッグデリバリーシステム」(DDS)のこと。
溶解型マイクロニードルは、生体親和性の高い高分子ヒアルロン酸を基材として薬剤や有効成分を混合したものを用途や目的に合わせて数十から数百μmの長さの微細な針が整列したシート状に成形加工したもの。皮膚に貼付することで、ニードルが直接皮膚の内部に入り、内部で溶解・浸透する仕組み。

溶解型マイクロニードルの製剤としての特徴は
①水溶性高分子薬物の経皮伝達が可能
②投与に痛みが伴わず出血しない
③簡便で安全な投与形態により自己投与が可能
④固形製剤により輸送・保管に便利など。
このような皮膚の水分で針が溶解し、薬物を放出するタイプの溶解型マイクロニードル(写真)と合わせて高分子薬やペプチド、蛋白薬など高価で微量投与の薬物やワクチンに適用する非溶解型マイクロニードルも開発した。
これらのマイクロニードルは、微細針の先端部に薬剤を含有させ、皮膚に貼付することで、薬剤を体内に投与するパッチ形態の新規経皮吸収製剤。その効果はもとより、安全性や簡便性からも注射に代わる製剤として医薬分野のみならず化粧品、美容分野でも応用されている。

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