〇解説記事②人工知能(AI)、美容業界に変貌迫る ~化粧品各社スマートフォン活用で肌診断~(中)

2019.09.3

特集

編集部

美容業界は、スマートフォンを起点にしてさまざまなAI、IoTの仕組みを構築できるようになり、スマートフォンを使ってIoT製品の操作が簡単に行えるようになった。
化粧品各社のAIを活用した肌分析は、自分の顔にスマートフォンなどの携帯端末(デバイス)をかざすだけで肌の状態を診断し指導助言する。また、診断データを基に自分の肌を改善するのに役立つ化粧品を推奨(レコメント)してくれる。

化粧品各社のスマートデバイスは、増加傾向にあり新商品投入が相次いでいる。株式会社資生堂(東京都中央区)は、美容部員を介さずにどのように販売促進を図るかが、長年の課題であった。
そこで注目したのが、スマートフォン。 人工知能技術を活用し、チャット形式で美容カウンセリングが受けられるスマ―トフォンアプリ「おしえて!ビユー子」を開発した。同アプリは、NTTコミュニケーションズと共同開発したもの。
同アプリは、ユーザーが美容に関する質問を投げかけると、キャラクターのビュー子がメークのコツや商品情報を教えてくれる。会話のシナリオは、同社の美容部員のノウハウに加え、顧客からの問い合わせ内容等も参考にして作成した。「的確さとわかりやすさが、ユーザーから好評」という。
ここへきて同社は、顧客の肌測定の結果や商品紹介、使用方法など動画を活用して伝える「デジタルカウンセリングミラー」を「資生堂銀座 SIX店」に導入(2017年7月)し活用している。
「スノービューティーミラー」の専用アプリ「オプチューン」は、スマートフォンの専用アプリで、肌をスキャンし、キメ、水分量、皮脂、毛穴の4つのポイントを自動的に判定する。また、ユーザーがその瞬間の「気分・コンディション」を選び、さらに天気や紫外線・湿度などの外部環境データなど、その時々の「気分・コンディション」を選び、さらに天気や紫外線・湿度などの外部環境データなど肌に影響するあらゆるデータを自動分析する。顧客に対して店員が接客しながら化粧品を販売する対面販売時に利用。

ところで同社は、2017年から、スマートフォンアプリによる肌色測定で一人ひとりに合うファンデーションを提供する米マッチコーやAI技術を持つ米ギアランなどの米ベンチャーを買収した。買収は、化粧品作りのノウハウとデジタル技術の融合を図るのが狙い。

株式会社ポーラ・オリビスホールディングス(東京都中央区)は、肌を分析して1人ずつに合った化粧品を提案するブランド「アペックス」を30年以上にわたって展開している。2019年7月にリニューアルした以降、表情を作る様子を撮影した動画から皮下組織を含む肌内部の状態を推定する肌診断に人工知能を活用する新しい方法を取り入れた。
AIに肌の表面と肌内部の状態がどのように相関しているかを学習させ、肌の表面が動く様子を撮影するだけで、内部の様子が推定できる。
診断結果は「水分量」や「皮脂量」など項目ごとに5段階のスコアで表示され、これまでできなかった皮下組織分析が可能になった。また、タッチアップテスターで、好みの化粧品を決めると後日、必要な成分が配合された化粧品を届ける。

富士フイルム株式会社(東京都港区)は、東京・銀座で2018年9月にリニューアルオープンした旗艦店に、複数の肌診断システムを導入。また、カネボウは、子会社のエキップ(東京都品川区)が手掛ける高級ブランド「スック」の一部店舗に、米ベンチャー「メモミ」が開発したデジタルミラーを導入して販促を強化中。 肌診断にAiやIoTを活用し、個客の取り込みに躍起の状態。

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