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「熾烈さを増す脱毛症の研究開発競争」~理研、髪の毛を生やす細胞特定、寄付募り臨床試験~

国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)の再生医学チームは、髪の毛のもとになる細胞を体外で100倍以上増やす方法を開発した。同時に、髪の毛を何度も生やす細胞を発見・特定することに成功するなど脱毛症治療に光明を見出した。理研は、今回の脱毛症治療に結び付く成果をもとに、男性型脱毛症の臨床研究に向けて企業、個人等から寄付金を募り実用化に拍車をかける。

今回の研究では、人の細胞で毛を作り出すもとになる一つの「毛包」を体外で100倍以上増やす方法を開発。また、毛が繰り返し生え変わるのに必要な特定のたんぱく質を持つ細胞を発見。この細胞が繰り返し毛を生やすことを特定した。
これまで理研は、マウスの細胞を培養して毛のないマウスに移植し毛が生えることを確認していた。また、2020年には、臨床試験について厚生労働省から承認を受けている。

理研では、今回の研究成果を踏まえて企業や個人等から寄付金を幅広く募り、細胞の移植や安全性、有効性等の臨床試験等を行い、実用化を目指す。
現在、男性型脱毛症(AGA)など薄毛に悩む人は、国内で1800万人以上に上り、脱毛市場も4000億円市場に達すると見込まれている。

そうした有望市場を巡って化粧品大手企業等が相次いで毛髪の再生治療分野に参入、実用化に向けた研究を加速させている。
脱毛症の治療研究の動きとして株式会社資生堂(東京都中央区)は、再生医療開発室(細胞培養加工等担当)を中心に、東京医科大学や東邦大学医療センター大橋病院と共同で、自家毛髪培養細胞を用いた薄毛・脱毛の細胞治療を確立するための研究を進めている。また、化粧品の売り上げが約8割に上るロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、毛髪の土台となる頭皮に着目し、再生医療技術に発想を得た育毛研究に取り組む。かつらメーカーの株式会社アデランス(東京都新宿区)も毛包再生医療の研究に入っている。
花王株式会社(東京都中央区)は、生体の毛組織から毛母細胞と毛乳頭を取り出し、両者を共存培養する手法を確立するなど実用化に拍車をかけている。

そうした中、理研は今度、毛髪の再生治療の実用化に向けて取り組むことになったことで、毛髪治療の実用化を巡る争いは、一段と熾烈さを増す状況となった。

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