連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る「異業種から化粧品へ新規参入上場企業約70社、業界の内部構造変化」

2014.11.10

特集

編集部

化粧品業界は、異業種から新規参入(表・1970年代から2014年10月まで)した上場企業が相次ぐなど百花繚乱の状況となっている。ここへきて新規参入の定番だった医薬品各社に加えて流通、玩具、化学、食品、サービス業などあらゆる業種業態の大手企業が参入。これまで化粧品専業が牽引してきた化粧品業界は、人口減少、高齢化社会、国際化に加えて新規参入ラッシュという新たな潮流で、内部構造が大きく変貌を遂げている。

無題美容経済新聞社の取材で明らかになった異業種の上場企業が化粧品分野に新規参入する動きが顕著になったのは、2000年初頭から。
異分野から新規参入の助走が始まったのは1970年代で代表的な企業としてダスキン、1980年代が日本盛、1990年代マルハニチロ、山田養蜂場などごく散発的な参入が見られた。しかし、2000年初頭から新規参入に拍車がかかり2005年の薬事法改正、景気低迷などで参入が一挙に加速。1970年代から2014年10月までの期間に異分野から化粧品分野に参入した上場企業数は累計で約70社にのぼると見られる。

新規参入組の主な参入動機や狙いは ①自社企画(PB)の化粧品を開発して自社の販売網に乗せてより付加価値を高め高品質・安価の化粧品を提供する ②化学や食品の原料・素材が化粧品成分に応用・活用できる ③既存製品の会員を取り込んで収益に繋げる ④主力の事業部門が構造不況で、新規事業、複合事業として化粧分野に注力 ⑤販売網を持たなくても化粧品通販のチャネルは、イニシャルコスト、ランニングコストが安く参入が容易など各社各様の理由が横たわる。

中でも流通再編の渦中にあるイオンホールディングス(HD)とセブン&アイホールディングス(HD)の新規参入が注目の的。現在、化粧品のパイを巡って激しい争奪戦に入った。
今から約20年前に国内、海外のブランド化粧品を仕入れて店舗販売してきたイオンは、新たに2011年8月「コスメーム」を設立して小売形態専門の販売に乗り出した。また、今年(2014年)9月に同社セレクト商品でPB化粧品「グラマティカル」(写真)をイオン店舗内で対面形式による販売を始めるなど化粧品分野を強化している。
セブン&アイは、2014年11月にファンケル化粧品と共同開発したPB化粧品「ボタニカル フォース」シリーズを全国のセブンイレブンやイトーヨーカ堂、そごう・西武など約1万7,250店で販売を始めた。同社は化粧品分野に参入したのは始めて。
消費税で小売業界が販売不振にあえぐ中で、両社の化粧品販売が奏功するか、今後の展開が注目される。

2006年11月に取締役会で化粧品販売を決議したファーストリテイリング(ユニクロ)の本格参入が関心の的。2010年4月に資生堂と共同キャンペーンを実施したが自社製品の客寄せパンダの意味合いだけではないと見られる。今後、小売業と化粧品のコラボレーションによる販売展開が一段と熱を帯びそうだ。

こうした新規参入ラッシュでこれまで化粧品専業メーカーが独占してきた市場の構造が変わってきた。専業トップの資生堂は、すでに国内と海外の化粧品売上が逆転し今後、海外の売上比率を60%にまで高める。コーセーも同様に海外での売上強化に打って出ている。
大手専業メーカーの国際化への動きは、国内の化粧品市場が成熟期に入り先行き大きな期待が見込めないとの認識で一致している。すでに消費構造は、これまで20歳代から30歳代が消費の中心を成していたピラミッド構造から現在は、高齢化に伴って50歳代がミラミッドの頂点を形成するなど逆ピラミッドに変化。また、直近では、消費税の影響で小売形態での販売が停滞し、単価当たりの売上が減ってきた。そこに、新規参入ラッシュでいやが上にも過当競争が起き通販化粧品市場を中心に価格破壊が起きている。

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