【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【9】銀座BeautyLife、「宮廷美容」で素肌美習慣を手に入れる(下)
2017.02.8
編集部
銀座BeautyLifeに来店するお客の間で多い悩みの一つに便秘がある。便秘はにきびや肌荒れにつながるため、美容に関心の高い女性にとっては大きな問題。中医学的には、便秘にも体質などによってさまざまなタイプがあるので、細かな弁証論治が必要だ。
そのため、カウンセリングに1時間以上かけるという。便秘の原因はさまざまで、生活習慣もあるが、「メンタル面が大きい」(長尾氏)と見ている。
便秘に処方する薬は、体質・症状などによって異なるが、弁証なしでとりあえず試してみたい人には、センナ実などを配合した「エバシェリーン」がある。水に溶かして飲むようになっている。このほか、処方例を挙げると、気の滞った“気滞”の人に対しては柑橘系生薬、血流が悪い人に対しては活血薬などを使う。
近年、不妊症に悩む人も多い。長尾氏の臨床経験からすると、不妊症の原因の一つにストレスがあるようだ。「お客さん本人はストレスではないと言っても、実際はストレスであったりするケースがとても多い」(長尾氏)と見ている。
また、いろいろな西洋医で診察を受けたり、さまざまな民間療法を試してみたりと“治療疲れ”している人も多いという。「“余計なことはあれこれ考えなくてもいい。とりあえずこの薬だけ飲みましょう”と勧めて飲んでもらうと、あっという間に妊娠できた」(長尾氏)というケースもある。これは中医学の“疏肝”が活かされたもので、「カウンセリングの中で半分治せているところがある。お客の言いたいことを言わせることが大切だ」(同氏)と説く。
これだけ中医学の治療実績を重ねつつも、その難解な言葉を一般にもわかりやすく伝えていくことは難しい。そこで、銀座BeautyLifeでは、はじめての宮廷美容ガイドeBOOK「銀座セレブの素肌美習慣」をリリース。美肌を手に入れるための方法論をわかりやすく解説している。
宮廷美容とは、楊貴妃や西太后など中国の宮廷美女たちが実践していた美容法。「漢方は本来、医療だけでなく、不老長寿、アンチエイジングを究極の目的として考えられてきたのではないか」(長尾氏)との考えから、宮廷美容を現代人にも合う形で実施する道しるべを示した。
具体的には、五臓の“肝”が中医学的には気の巡りや、血の貯蔵・調節をつかさどり、西洋医学的には代謝や解毒などの働きを担うことから、肝臓を“美肌工場”にたとえて、これをキレイにすることが美肌につながるとして、その具体策を紹介している。
「宮廷美容は、中医学に親しみをもってもらうための手段の一つ。高尚で難解なイメージのある中医学をわかりやすく伝えて、一般との距離を縮めていきたい」(長尾氏)考え。今後は、宮廷美容を実践できる人材育成なども手掛けていきたいと意気込みを見せる。
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