【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑭肌のたるみ評価法、たるみ量をスコア化、可視化を実現(下)

2020.03.31

特集

編集部

ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、早い時期に肌のたるみ量を測定できる二次元簡易測定法を開発(2010年)。
同時に、簡易測定法を使って女性の肌の評価を行い、フェイスラインのたるみ量と見た目のほうれい線スコアが一致することを見出した。

「肌のたるみ」は、見た目の年齢に大きく影響を与える要素として知られている。こうした中、同社は、目視によるスコア化での「肌のたるみ」新評価法を開発し、たるみの曲がり角が2回ある事を確認した。
しかし、スコア化では、化粧品使用の影響など細かい差を評価する事が難しいため、より正確で、細部まで測定できる数値として評価できる評価法について研究した。

「たるみの二次元簡易的測定法」は、半顔あたり15箇所の測定箇所を設け、仰向けで測定箇所をマークし、それが中心となるように「たるみ測定シールR」を貼付した後、仰向けでの半顔部分の写真を撮影。次に、座位にした場合の半顔部分の写真を撮影し、両方の姿勢での撮影画像を重ね合わせることでマーク部分の移動距離を「たるみ測定シールR」から算出してたるみ量をスコア化した。

仰むけと座位では、下方向への肌の移動(下向きのたるみ)が見られることは知られていたが、従来の手法ではできなかった奥行きや斜め方向への移動距離を測定箇所において直接測定する事を初めて可能とし、より簡便で精度の高い測定法を確立した。

同社では、同測定法により40代女性の肌たるみを評価した。その結果、フェイスラインのたるみ量が最も大きく、一番下側で最大のたるみ量となる事を確認した。また、目視による「ほうれい線スコア」と同評価法の結果は一致し、ほうれい線のスコアが高い人ではたるみ量が大きいことを確認した。
この結果、肌のたるみはフェイスラインで起こり、これがほうれい線を形成する原因になっている事を掌握した。

ポーラ化成工業株式会社(神奈川県横浜市)は、核磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて顔面の皮下組織内部の核磁気共鳴イメージング(RC)を可視化する技術を確立した。また、RCがタルミ改善の有効なターゲットになり得ることも確認している。

核磁気共鳴イメージングは、生体内部の情報を画像化する技術。同社は、核磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて可視化の検討を行った結果
①MRIを用いることで、肌に傷を付けることなくRCを可視化できること
②RCの密度と皮膚深部の弾力性との間に相関関係があり、RC密度が低いほどタルミが増大する傾向にあることを確認した。
いわば、RCがタルミ改善の有用なターゲットになり得ることを示したものとして注目される。

#

↑