【連載】この中小化粧品会社に注目(60)タカミ(下)~ロレアルのタカミ買収はアジアブランド拡大が狙い~
2021.05.25
編集部
ロレアルの傘下に入ったタカミは、 美容皮膚科タカミクリニックのノウハウから生まれたドクターズコスメの主力製品「タカミスキンピール」(角質美容水=写真)やスキンケアラインなど角質ケアに特化した化粧品を開発してきた。
国内では、路面店「TAKAMI GINZA」のほか、専門店やバラエティショップ等への卸販売及びサブスクリプション型(商品ごとに購入金額を支払うのではなく一定期間の利用権として定期的に料金を支払う方式)EC(電子商取引)で展開してきた。
海外にも進出し、同社初の海外店舗として香港店をオープン。特に、スキンピールは、人気の製品となり「リトルブルーボトル」(藍瓶=シャオランピン)」として今でも根強い需要を見せている。2019年5月には、香港店をリニューアルオープンした。
香港店のリニューアルは、売り場面積を約3倍に拡大するとともに専任スタッフの増員を図るなど収益の拡大を図った。
ロレアルがタカミを買収したのは、化粧品需要が高い中国市場で人気が高まっているアジアブランドを伸ばし、コロナ禍での成長を目指すことにある。
特に、アジアにおける「タカミ」の評価についてロレアルは、品質の高さとブランドの人気を高く評価しアジアブランドの拡大に繋げられると判断した。
中でもロレアルは、プレステージ(上位に位置するブランド)ビューティトリートメントの専門知識とオムニチャネル(実店舗とネットショップの境をなくした新しいショッピング形態)の販売網は、ロレアルリュクス(消費者に最高の製品とブランを届ける事業)のブランドポートフォリオ(どのブランドに企業の資源を投入すべきかを判断する意思決定の枠組み)においてタカミが極めて補完的な役割を果たす」と判断したことが買収の決め手になった。
今後、コスメ業界は、国内の中堅・中小化粧品企業が海外において独自のブランドで販売を伸長・拡大している企業を標的にした企業買収が引き続き活発化することが予想される。