「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【4】 新乳化剤、処方サンプル作り販促強化~東レ・ダウコ―ニング(上)

2014.04.9

特集

編集部

東レ・ダウコ―ニングは、化粧品用シリコーンの“総合デパート〟の異名を誇る。同社を代表する化粧品シリコーンは、べたつきがなく滑らかな感触を与 える不輝発性オイル「ジメチルシリコーンオイル」(SH200シリーズ・油剤)や現在、最も出荷量が多い揮発性シリコーンオイル(肌上での広がりやさらっ とした感触などが特徴)、処方を安定するシリコーン乳化剤、化粧持ちを向上させる皮膜形成剤、毛髪に柔らかさ、滑らかさを付与するアミノ変性シリコーンな どを含めて全製品数は、実に100製品にのぼる。

化粧品用シリコーンの原料は、半導体ウエハと同じ元素のケイ素で、金属ケイ素から誘導され る合成化合物(有機化合物)。製法は、天然のケイ石を還元した後、金属ケイ素と塩化メチルを高温で反応(前工程)させてできたモノマー(シラン)を加水分 解し、そこから抽出したシロキサンをポリマー加工(後工程)して作る。また、耐熱、耐候性などに優れた特徴を持つシリコーンの分子構造を変えることで液 体、弾性体(ゴム)、固体などに加工してパウダーやファンデーション、ヘアケアなどの化粧機能性を持った化粧用シリコーンを製法する。

シリコーンとゲル状からパウダー状のゴム弾性体までラインナップした化粧用シリコーンは、千葉工場で生産、ドラム缶(190キログラム~200キログラム)の荷姿で出荷している。

ES-5600_東レ・ダウコ―ニング今 年4月から同社は、新たにシリコーン乳化剤「ES-5600」(写真)を市場に投入した。シリコーンエレストマーに乳化剤と皮膜形成剤を配合して化粧機能 性を高めたもの。特徴は、粉体の分散性が高く油剤を安定して乳化できるため、べたつき感がなくさらさらしている。4月1日から3日までドイツ・ハンブルグ で開催の「イン・コスメティクス」に出展した後、国内を含めてグローバル販売を始めた。

同社は、シリコーンオイル用の乳化剤について「乳化 剤に皮膜形成剤、油剤などを配合して化粧機能性を高めるスペシャリティシリコーンの需要が高まっている。同製品は、この流れに沿って開発したもので、昨年 4月に市場投入したES-5300の姉妹品として実用化した。また、女性の高齢化が進展する中で、シワを隠す効果やカラ―コントロールで肌をきめ細かく見 せるなどの効果があり最近のトレンドを反映した製品」(アジア・パシフィックマーケティング)という。

東レ・ダウコ―ニング同 社では現在、多種多様な化粧用シリコーンを主要国内代理店2~3社を通じて化粧品各社に販売。ここへきて化粧用シリコーンに乳化剤や皮膜形成剤などを配合 し、化粧容器に詰めた処方サンプル(写真)を作って化粧品各社に持参。米国化学工業協会が定めた安全・環境基準に準拠して作った製品であることを含めて販 促に力を入れている。また、海外での販売は、ダウコ―ニング社の世界57の国と地域に設置したグローバルネットワークと連携しながら行なっている。
東レ・ダウコ―ニングは、2005年4月に東レ・ダウコ―ニング・シリコーンとダウコ―ニングアジアの統合会社として営業を開始した。現在の出資比率は、ダウコ―ニング・ホールディング・ジャパン65%、東レ35%の割合となっている。

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東レ・ダウコーニング

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