「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【21】 6年後に化粧品原料売上40億円、海外比率50%に~昭和電工(下)
2014.06.5
編集部
昭和電工は、化粧品原料の売り上げを6年後の2020年度までに40億円を目標とした長期計画を掲げて国内外で攻勢をかける。
現在、応用化学品研究所などが中心となって研究開発に取り組んでいる3~4の機能性化粧原料の内、アンチエイジング対応の化粧原料1品目を年内にも市場投入する方針。
現時点で、市場投入時期は明らかでないが販売が実現すれば2013年8月に市場投入した柑橘類由来のくすみ改善成分「メチルヘスペリジン」以来の新製品投入となる。
化粧原料の海外展開も長期売上計画の目玉に位置付ける。現在、国内と海外の売上比率は、国内80%、海外20%の割合。将来、海外での売上比率を50%にまで引き上げる計画。
現在、10数社の商社を通じて行なっている化粧原料輸出に加えて米国、ドイツ、中国など世界5ヵ国の現地法人と連携しながらロレアル、P&Gなど欧米の化粧品ブランドメーカーと直接、商談を進めるなどグローバル化を一段と加速する。また、各国の法規制に合わせた原料販売を促進するため、現地法人を通じてハラ―ル認証の申請準備を始めている。
中国は、2010年4月1日から「化粧品行政許可申請受理規定」を施行し、中国向け化粧品の開発、輸出、販売に関する許可申請規定や手続きなどを大きく変えて厳格化した。
同社は、中国の新制度に準拠して中国食品薬品監督管理部門(SFDA)に対し、輸出入の承認申請を行っていたが「このほど中国化学物質審査規制法(中国化審法)の登録が完了し、収載された」としてタミンC誘導体を中心に中国展開を加速する。
同社の化粧事業は、ここへきて一段とスピード感、活力が増してきた。この要因として販売機能と研究開発機能をそれぞれ一元化した組織再編による効果が大きい。
同社は、2011年1月にスキンケア化粧品向けの材料事業や毛髪のカーリング剤向け材料事業並びに医療機器や外用剤基材向けの医療関連材料事業を新たにパーソナルケア事業と位置づけて構造改革を実施した。それまでパーソナルケア事業の販売・研究開発機能は、化学品事業部門内の幾つかの営業部や同事業部門内並びに全社共通部門の研究開発部門でそれぞれ担当していた。この分散していた化学品事業部門の原料組織を販売部門と研究開発部門に一元化して連携を図ったことがここへきて事業のスピード感や効率化に繋がっている。
ところで同社は、三菱商事と炭素素材「フラーレン」の事業化に向けた戦略的事業提携を行った。同時に、三菱商事と三菱化学が共同で設立したフラーレン事業会社「フロンティアカーボン」の株主として三菱化学に代わって新株主(2013年1月)となった。
同社がフロンティアカーボンの株主になってフラーレン事業に参入したのは、カーボンナノチューブで培ったナノ技術をフラーレン事業に応用することで、炭素素材関連の事業拡大に繋げるのが狙い。現在、三菱商事は、化粧品原料事業を行なう子会社ビタミンC60バイオリサーチを設立してフラーレン化粧原料事業を行なっている。
そうした中で、昭和電工がフラーレンの化粧事業展開について踏み切るか、現段階では未知数だが今後、フラーレンの化粧原料への応用展開の行方が大きく注目される。
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