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【11】大正製薬、発毛剤「リアップ」の今期売上150億円見込む(上)

現在、発毛・育毛などの毛髪剤市場でトップの売上規模を誇るのは、大正製薬が開発・販売している発毛剤「リアップシリーズ」(第1類医薬品)。2014年度毛髪剤生産額約1477億円(厚労省動態統計調査)規模の中でリアップは、約30%のシェアを占めてトップの座にありMSD(旧萬有製薬)や花王などのライバル企業を引き離している。

リアップシリーズに配合の主成分ミノキシジルは、米国ファルマシア・アップジョン社(現ファイザー社)が開発した発毛・育毛成分。当初、血管拡張を主作用とする経口の高血圧治療剤として開発された。しかし、高血圧治療剤が治療中の患者に適応したところ血管を拡張し、毛根の再生を促すなど多毛症が認められたことから、医療用の外用発毛剤として改めて開発したもの。

ミノキシジルの主な作用は①毛包の休止期から初期成長期へと移行を促進することで発毛を促す②毛包を成長させて毛髪を太い毛に成長させるなど。

同社は、1985年にファルマシア・アップジョン社と日本におけるミノキシジルの開発・製造・販売の導入契約を結び、脱毛のメカニズム解明、ミノキシジルのメカニズムと有効性・安全性試験、臨床試験(有効性確認・エビデンス)を実施。

大正製薬「リアップX5」1999年2月に厚労省から国内で初めて医療用ではなく大衆薬のダイレクトOTC薬として承認を受けた。同年6月には、ミノキシジル1%配合の一般用医薬品「リアップ」(男性用)を国内市場に投入した。以降、2005年にミノキシジル1%配合の女性用発毛剤「リアップレディ」を投入。また、2008年には、ミノキシジル1%配合に3種の有効成分を加えた男性用発毛剤「リアッププラス」を販売。翌年の2009年6月には、ミノキシジル5%配合の「リアップX5」(写真)を市場投入し、現在に至っている。

リアップシリーズの薬用育毛トニックなどには、主成分ミノキシジルに加えて発毛促進効果があるセンブリ抽出エキスや甘草根から抽出され、解毒作用・抗アレルギー作用・刺激緩和作用・カブレ防止などの効果があるグリチルリチン酸ジカリウムなどの生薬も配合されている。

リアップシリーズは、2013年12月の薬事法の一部改正で、2014年6月からネット解禁された。「薬剤師の処方が必要な縛りがあるものの、今のところ薬事法改正によるネット販売を追い風に売上は堅調に推移している」状況。

リアップX5を中心とした発毛剤の売上高は、前々期(2014年3月期)が前期比11.5%増の156億円。前期(2015年3月期)は、消費税の駆け込み反動で、前期比6%減の149億円となった。今期(2016年3月期)は、広告宣伝活動による商品の訴求力、浸透力強化に打って出ており150億円の売上を見込む。

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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