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㊳天真堂の会社研究 ~新経皮吸収システム技術開発し育毛剤・美白化粧品開発に応用~(中)

天真堂がこれまで技術開発した中で、注目されるのが経皮吸収システム「TEN-DDS」だ。TEMは、天真堂を意味。DDSは、薬物搬送システム「Drug Delivery System」ならぬ「Direct Delivery System」という和製英語で、直接伝達するシステムという意味合いになる。
同社は「患部に伝達して患部で働く」という薬物搬送システム「Drug Delivery System」の考えに対して、「医薬部外品の有効成分は、表皮で作用する成分が多数を占める。表皮中に届けるため、いかに角層を透過させるかが大きな課題」として提起した。
医薬品の薬物搬送システムのような「患部に伝達し患部で働く」というよりは、第一関門である角層を「いかに有効成分を透過させて表皮に素早く届けるか」という新経皮吸収システムが大切な要素の一つと考えた。
そこで「表皮に有効成分を素早く届ける」という意味を込めて化粧品の新経皮吸収システム「TEN-DDS」と命名した。

TEN-DDSの構造は、経皮吸収促進剤として分配性や拡散性が向上する設計としている。
その構成要因と必要なものは
①水溶性の有効成分
②ジカルボン酸(ポリオキシアルキルエーテル)エステル
③ポリグリセリン脂肪酸エステルの3つ。
これらの両親媒性物質の角層との親和性やオクタノール・水分配係数(透過しやすい経皮吸収指数)を考慮して設計している。
同社は、TEN-DDSの効果実証試験として経皮吸収を量る為に3D培養皮膚モデルを用いて経皮吸収(透過)量を測定した。
TEN-DDSは、3D培養皮膚モデル実験において、透過の速さ・量とも通常のローションより優れていることを確認。また、グリチルレチン酸ジカリウム(GK2)を指標とした育毛剤の評価でも同様に高い透過を確認している。
グラフに新経皮システムを示す。青線が通常のローションでオレンジがTEN-DDS技術を用いたローション。
これらの実証結果により、同社では「TEN-DDS技術を用いた化粧品は高い透過性を示すことが実験で裏付けられた」としている。

同社は、水溶性の有効成分を肌へ急速に浸透させる新経皮吸収システム「TEN-DDS」の特許申請に踏み切るとともに、現在、人での臨床試験を進めているほか、同システムを採用した育毛剤や美白化粧品OEMシリーズとして商品開発にはいっている。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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