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検証「化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目」

化粧品メーカーをはじめバイオベンチャー、美容家電メーカーが人工知能(AI)や細胞培養等の独創的な技術を駆使して人工皮膚、メイクミラー(鏡)、細胞培養化粧品等を開発するなど化粧が起こすイノベーション(変革)の波が押し寄せている。女性の美的感覚「美白」やしわ・シミを隠すアンチエージング(抗齢化)の高まりに対応した化粧品や化粧の処方を提供しサービスすることで、クオリティライフの実現に供しようというもの。そこで化粧の新しい潮流として各社が開発した及び開発中の化粧・美容技術に視点を当て技術の特異性や技術の深度、ビヘイビア(重さ)、開発の影響力等を検証した。

 

検証1・花王、美容液等を肌に吐出する吐出機開発(上)

花王株式会社(東京都中央区)は、パナソニック株式会社アプライアンス社(滋賀県草津市)と共同で、美容液や化粧液等をセットして肌に吹き付ける小型吐出機「ヴェールディフェーザー」(写真)を開発(2019年11月)し、美容液等を含めて市場投入した。
この小型美容機器「ヴェールディフェーザー」は、機器から化粧液を噴射すると直径1000分の1ミリ以下の繊維状になって肌に付着し、積層型の極薄膜を形成する「ファインファイバーテクノロジー」技術を応用して開発した。

同社の独自技術「ファインファイバーテクノロジー」は、吐出機器を用いて極細繊維を直接肌に吐出し、肌上に積層型の極薄膜をつくるもの。直径1μm以下の細い繊維が幾層にも折り重なってできるこの膜は「軽く」、「やわらかく」、肌の動きに柔軟に追従し、肌表面をなめらかに整える機能がある。また、形状によって膜と肌の段差が極めて少ないことから、はがれにくく、肌に自然になじみ、肌との境目も見えない。さらに、極細繊維が持つ高い毛管力(物体内の狭いすき間が液体を吸い込む力 )により、併用する製剤を速やかに膜全体に均一に広げ、しっかりと保持する。一方で、繊維のすき間から適宜水蒸気を通すため、肌を完全に閉塞することなく、適度な透湿性も保てる。

花王は、この極薄膜を自宅で簡単につくれる機器の開発を進め、美容家電に多くの知見を持つパナソニックのグループ会社で家電・美容等の開発・製造販売会社「アプライアンス社」の協力のもと開発に繋げた。
ファインファイバーテクノロジーを応用することで、毛穴、色ムラ、シミなど気になる箇所をしっかりカバーして美しく自然な肌仕上がりが得られるベースメイクや、好きな部位に思いのままに色をのせるボディメイクなどの提案が可能になる。今後も、仕上がりの持続性が高く一方で、落としたいときには簡単にはがせる、相反する性能が両立する膜の特性を生かしてメイクアップの領域でも新たな価値創造に挑戦する。

 

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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