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⑫シリコーンゲル・メイクアップ化粧品に活用(上)

現在、シリコーン組成物・シリコーン誘導体が開発され、機能性化粧品に広く応用されている。
シリコーンは、その構造を調整するとオイルのようになる。この状態になったシリコーンは、肌に塗ったとき、伸びが良くべたつきも少ないことから化粧品に活用されている。
シリコーンを低密度で3次元架橋させたシリコーンエラストマー(シリコーンポリマーを三次元網目状につないだ架橋ポリマーのこと)は、液状シリコーンと混合すると半透明でペースト状のシリコーンゲル(シリコーン樹脂組成物=写真)を形成する。

シリコーンゲルは、化粧品のなかでも特にファンデーションやアイカラーなどのメイクアップ化粧品に応用されている。更に、しわや毛穴をぼかして見え難くする、ソフトフォーカス効果が登場した。これは、光を散乱しつつ透過もするという高度な技術。
この技術を前進させたのがシリコーンゲルの微粒子。光をある程度、透過しつつ散乱させて白く見せることを実現した。

シリコーンゲルは、緩く架橋したエラストマー粒子が液状シリコーン中に膨張して粒子同士の相互作用でネットワーク構造を形成している。
最近のシリコーンエラストマーは、油剤とソフトゲルを形成するタイプやソフトゲルに高濃度の水を安定配合できるタイプなど高機能化が進んでいる。

一方で、シャンプーに含まれるシリコーンには、髪をコーティングしてダメージを軽減するとともに、指通りをなめらかにするなどの働きがある。
最近では、パーマやカラーリングを頻繁に行い、頭皮や髪の健康状態を気にする人も多いなどノンシリコンが支持される理由の一つになっている。

その半面、シリコーンの重みで髪がつぶれたり、肌に付着すると抜け毛や炎症を引き起こしたり、パーマやカラーリングの効果が薄れやすくなるなどのデメリットも散見される。

ともあれ、化粧品の機能性向上につながる新シリコーン誘導体の可能性が一段と注目されている。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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