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【47】オーガンテクノロジーズ③ ~2020年メドに脱毛症治療確立、アジュバン、京セラ等と共同研究~

オーガンテクノロジーズと理研の共同研究体にとって、昨年(2016年)は新規ヘアケア剤、脱毛症治療等に関してアジュバンコスメティック(アジュバンコスメジャパンの子会社)と新規ヘアケア剤候補物質の探索などで共同研究契約を締結。また、京セラと脱毛症治療の共同研究契約を結ぶなど、脱毛症をターゲットとした共同研究ラッシュの様相を呈した。

オーガンテクノロジーズと理研は、共同開発した再生毛包原基移植による毛髪の再生技術、加齢による毛包変化の評価を確立している。

アジュバンコスメティックは、これらのノウハウをベースに毛髪のメカニズム解析と新規ヘアケア候補物質の評価・探索、ヘアケア剤を中心とする新規機能性化粧品の開発を目的に共同研究するもの。契約期間は、2018年10月まで。

京セラとの共同研究契約(2016年7月)は「毛包器官再生による脱毛症の治療」に関するもので、毛包器官を再生して脱毛症を治療する技術や製品開発を共同で取り組む。

3社による共同研究では、細胞培養技術や移植技術の確立および移植に向けた機器開発を進め、2020年の実用化を目指す。現在、共同研究は、兵庫県神戸市の理研融合連携イノベーション推進棟を拠点に研究開発に入っている。
共同研究で京セラは、長年培ってきた微細加工技術や生産技術を応用し、細胞加工機器の開発などの技術開発を担当。

これに対し、オーガンテクノロジーズと理研は、毛包由来幹細胞の培養・増幅技術やヒトへの臨床応用に向けた細胞操作技術の開発、製造工程の確立、モデル動物を用いた前臨床試験などの技術開発を担当している。
このように、オーガンテクノロジーズと理研が一体となって脱毛症に関心が深い企業と共同研究に取り組む背景には、男性型脱毛症の患者が国内で1800万に達し、生活の質向上に大きな影響を与えていることによる。しかも、これらの治療技術は、全ての症例に有効ではなく自家単毛包移植術による外科的処置によっても毛包の数を増加させることが実現できていない。

毛包は、毛髪を生み出す器官であり、再生医療の中でも幹細胞移入療法や組織再生に次ぐ次世代器官再生医療の先駆けになると期待されている。

果たして2020年メドに再生医療技術で脱毛症を治療する実用化技術を確立できるか、今後の展開が注目される。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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