株式会社シェイプアップハウス 代表取締役下村朱美さん

インタビュー

監修:美容経済新聞

日本のホスピタリティを海外に発信していきたい

花上:ここ最近のエステ業界の動向をどのようにお感じになられますか?

下村:面と向かっての接客で、さらに肌に触れるという私たちの仕事は、技術力はあって当たり前のもので、根本的に重要なものは“人材”です。よい人材さえいれば業界は潤う―。そう思っています。
でも、同じ美容というカテゴリーの中で、美容師業界は大きなマーケットを築いているのに、エステ業界は伸び悩んでいます。ストレス時代とも言われる現代において、ほとんどの人が健康でキレイになりたい、やさしく癒されたいと思っているはずなのです。ではなぜ伸びないのか?

それは、未熟な技術によるトラブルや、肌と合わない化粧品を選び使用してしまうこと、高額な契約など、エステに対しての不安が多々あるからだと思います。でも、実際にはヘアケアよりもスキンケアやメイクにかける時間とお金の方が大きいわけで、エステの重要性は認識しているはずです。だったら、自分ではうまくカットができないから定期的にプロがいる美容室に行くというように、エステでも、自分にはできないことをしてもらう日常の一部と思ってもらえるようにする。必ずキレイになれる、癒される、健康にしてもらえるプロがいるから通う、と思ってもらえるようにすればいいと思うんです。

花上:本当にそうですよね。確実に結果が出るエステティシャンがいて、色んな意味でのストレスを緩和してくれるエステティックサロンであれば、行きたくなる、行くことが当然と感じられますしね。

下村:そうなんです。私どものサロンは、春の陽だまりのような、平和で癒されるサロンだとよく言っていただけます。それは、徹底した教育を受けたことによる確実な技術力と、エステティシャンの高い人間性による接客がなせる技です。

「シェイプアップハウス」という名前の通り、ショップではなく“家”、つまりお客様の第2の家でありたいと願っています。今、成長産業のキーワードは「3K―環境、健康・福祉、幸福感」と言われ、まさにエステティック業界はこれに当てはまるので、もっと伸びるはずです。
エステサロン同士でお客様を奪い合うのではなく、業界がまとまって切磋琢磨しながら本当のプロをつくっていけば、もっと潤っていくと思います。

花上:下村さんは、どうしてそこまでご自身の会社のためというよりも、お客様のため、皆のためとお考えなのですか?

下村:それは、私がこれまでとてもよい人たちに巡り逢えたから。いつもあまりの無防備さに社員からは心配がられていますが(笑)。ただただ、一生懸命だったサロンをオープンさせた頃、お客様により満足していただくにはどうしたらよいか?もっとできることはないか?と思い、必死で勉強して資格を取り、技術を磨いていたところ、お客様がすごく喜んでくださったんです。「よかったわね!すごいわね!」と…。

私の仕事の醍醐味ってこういうことだったんだと改めて認識させられた瞬間でした。
ですから、その時感じたことを念頭に、今でもより一層のレベルアップのため、エステティシャンの養成や社員教育に心血を注いでいます。

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花上:それこそ、まさに今の業界の発展に必要不可欠なことですね。今後はどのような展開をお考えなのでしょうか。

下村:日本人のおもてなしの心や美学は“宝”だと思っています。これらが土台となったレベルの高いサービスが提供できるのは日本しかありません。我が社は3年前に海外進出したのですが、日本の技術者をどんどん海外に出していき、日本のホスピタリティを世界に知っていただきたいと思っています。そのことが、ひいては日本のエステ業界が発展し、潤うことにつながるからです。“ジャパンイズ ナンバー1”ではなく、“ジャパニーズ イズ ナンバー1”ということ名実ともに形にできればと思っています。

美しいものには人を幸せにする力があります。人間性、外見、健康を磨くことで美しい人ができる。それを叶えられることこそがエステティックの真髄です。

花上:最後に、色んな場面で業界に携わっている方たちにメッセージをお願いします。

下村:私自身もつねに心に留めていることですが、積極性のあるやさしい人になってほしいです。そして、そのためには勉強をして自信を身に付けることが不可欠です。自分のやっていることに誇りを持ち、日本人らしいサービスをしていきましょう。そうすれば必ずよい循環が生まれ、エステ業界は益々発展していくと思います。

花上:このインタビューを通して、下村さんのお人柄はもちろん、業界に対する熱い想い、エステティシャンに対する厳しいながらも優しい気持ち、お客様に並々ならぬサービス精神をお持ちだということが本当によくわかりました。本当にありがとうございました。

下村朱美氏をゲストに迎えお話をうかがい、私たちも業界発展のために尽力していこうと、気持ちも新たに感じることができました。

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下村朱美 Akemi Shimomura

Profile
●1957年生まれ。池坊短期大学 家政科卒。

1982 年、大阪・難波に「やせる専門店 シェイプアップハウス」をオープン。
1986 年には大阪・梅田に日本初の男性専門サロン「ダンディハウス」をオープンし、1990 年、日本ではまだほとんどなかったエステティシャン養成スクールで「ミスパリ エステティックスクール」の前身となる「ミス・パリインターナショナルスクール」を開校。
2000 年、女性専用サロンを「ミスパリ」に変更。
2005 年にはSPA・エステティック業界では世界初となる【世界優秀女性起業家賞】を受賞。
“お客様の喜ぶすべてのことをやろう”を企業理念に、エステ業界の発展に多大なる業績を残し、貢献しつづけている。

現在は、株式会社 シェイプアップハウス 代表取締役、株式会社 ミス・パリ 代表取締役、学校法人ミスパリ学園 理事長を務める傍ら、関東ニュービジネス協議会の理事として、企業家の育成発掘の支援なども行っている。

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