スギノマシン、化粧品に応用できるシルクNFを開発

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2018.01.9

編集部

株式会社スギノマシン(富山県魚津市)はこのほど、富山県工業技術センター(富山県高岡市)と共同で、新たな繊維素材「シルクナノファイバー水分散体」(シルクNF)とその製造方法を開発した。化粧品、医療用基材などへの活用を見込み、「nano tech 2018」(2月14日~16日開催)にシルクNF開発品および化粧品試作サンプルなどを初展示する予定だ。

今回開発したのは、ウォータージェット(超高圧水)技術を応用したスギノマシン製湿式微細化装置(スターバースト)の専用機を用いて、原料のシルクを一旦弱アルカリ性の液中に分散させることで、効率よくナノファイバー化(NF化)する製造方法。スギノマシンと富山県工業技術センターが共同で特許出願済み。

『BiNFi-s(ビンフィス)シルク』という名称で4月以降にサンプル提供する予定。シルクNFは、セルロースNF(CNF)などと同様に、分散安定性、粘性、チキソ性、高比表面積、保形性、成膜性、成膜時の透明性、素材としての安全性などの特長の他に、生体適合性を有する。

特に化粧品分野では、動物実験代替法による安全性試験や皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の実施が求められており、今回の開発品はいずれの試験でも有害性の反応は見られていない。また、薬品を使用せずに成形性が上がることで、医療用基材分野にも応用が可能だ。

化粧品添加効果の研究例として、乳液にシルクNFを添加した化粧品サンプルを試作し、人の肌に塗ったときの保湿機能を確認したところ、未添加品よりも長く水分が保持された。これはNF化処理によって、シルク内に包括されていた保湿性を持つセリシンが、乳液中に拡散し、繊維形状のフィブロインの周囲に絡み合い、それが均一に塗布できるようになったことで、より肌上の保湿効果が向上すると考えられる。

さらに、シルクNFが持つ適度な粘性により、肌への塗り心地を柔らかくし、ストレスの少ない触感に変化させる可能性を確認。シルク本来の機能性を保持しつつ、従来とは異なる触感を得ることで、新たな価値創造が期待される。

参考リンク
株式会社スギノマシン

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