大気有害物質は種類によって皮膚への影響が異なる
2018.01.15
編集部
ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は12日、大気有害物質が皮膚へ悪影響を与えるだけでなく、その種類によって影響が異なることを発見したと発表した。これにより、地域や環境に適した新しいスキンケアの提案へとつながることが期待できるとしている。
大気有害物質とは、大気中に存在する有害な物質の総称でPM2.5や排気ガスなど様々な種類が存在している。今回は、その中より、代表的な大気有害物質である①自動車排気ガス、②都市大気粉塵(PM2.5などを含む)、③ゴビ黄砂(ゴビ砂漠周辺から発生する黄砂)、④肌に悪影響を及ぼすことが知られる「スギ花粉」の4つに着目し、研究を実施した。
研究により、4種すべての大気有害物質が皮膚において炎症を引き起こす因子インターロイキン8(IL-8)の産生を促進することを確認した。
自動車排気ガスと都市大気粉塵が皮膚において酸化ストレスを誘導すること、また、酸化ストレスと関連する炎症を引き起こす因子インターロイキン1β(IL-1β)やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP1)の発現を上昇させることを確認した。ただ、ゴビ黄砂とスギ花粉では反応が見られなかった。
黄砂と花粉が皮膚において、かゆみやアトピー性皮膚炎の原因となる因子「インターロイキン33(IL-33)」の発現を上昇させることを初めて明らかにした。自動車排気ガスと都市大気粉塵では反応が見られなかった。
「自動車排気ガス」と「都市大気粉塵」が細胞どうしの接着に重要なタイトジャンクション遺伝子のクローディン1(CLDN1)やオクルーディン(OCLN)の発現を低下させ、バリア形成を阻害することが明らかになった。ただし「黄砂」と「花粉」に関してはバリア形成への影響は見られなかった。
大気有害物質は国や地域により影響が異なるため、今回の研究をさらに推し進めることで、エビデンスに基づいた地域や環境に適したスキンケアの提案が可能となる。
今回の研究結果は、2017年10月23日~25日に韓国で開催された第24回国際化粧品技術者会連盟中間大会2017(IFSCC Conference 2017)において発表した。
- 参考リンク
- ロート製薬株式会社