【連載】変貌する化粧品業界③日華化学、化粧品事業今期129億円見込む

2018.10.24

特集

編集部

日華化学株式会社(福井県福井市)は、化粧品事業をデミコスメティクス事業の売り上げが100億円の大台を突破するなど経営の屋台骨を支えている。
界面活性剤・高分子事業等の化学品を中心とする化学メーカーの同社は、界面科学のノウハウをベースに繊維部門で培った「洗う」、「滑りをよくする」、「染める」などの技術から発展させた美容サロン向けプロフェッショナル用の頭髪化粧品ブランド「デミコスメティクス」事業を推進している。
現在、美容室専売品化粧品としてヘアケア剤9シリーズ、スキャルプケア剤4シリーズ、スタイリング剤5シリーズ、カーリング剤3シリーズ、染毛剤2シリーズなど約25シリーズを投入・販売。また、医薬部外品として染毛剤6シリーズ、スキャルプケア剤4シリーズなど約11シリーズを投入。全国約80の販売代理店を通じて美容サロン等に卸販売している。
美容サロン向け専売品の販売が好調なことを映して、2015年12月期にデミコスメティクス事業が初めて100億円の大台乗せを実現。2017年12月期は、国内サロン向け販売が苦戦し前期比1.3%減の約124億円にのぼっている。
今期(2018年12月期)は、自社で研究開発し特許を出願した「グロス染料」配合の高機能ヘアカラー「ル ポリサージ」を2018年9月に投入したことが業績に貢献して売り上げは129億円を見込む。

ところで、2018年1月に特許申請したグロス染料は、髪へのダメージや頭皮への刺激がなく大幅にアレルギーリスクを低減。さらに美しい発色も実現するとなど既存染料の優れた特長を合わせ持つ、これまでにない新しい染料。今年6月、繊維学会「平成30年度繊維学会年次大会」において「グロス染料」の発表を行っている。

同社は、2017年から2019年までの中期経営計画でデミ化粧品事業を
① デミブランドの製品拡販とマルチブランド展開で国内美容室向け市場を深耕
② 海外事業(中国、韓国、台湾)の強化 を打ち出している。

美容室向けの主力ブランド「デミ」において高付加価値な新製品を開発するとともに、美容室向けエイジングケアブランド「イーラル」をハイエンドブランドとして地位を確立させ更なる売上と収益率の向上を目指す。 また、2012年に立ち上げた通販化粧品ブランド「アンサージュ」でも新製品を投入して成長を目指すとともに、第4ブランドとしてサプリメント・インナービューティ(健康食品・機能性食品等)市場での事業化について検討を始めている。

海外では、引き続き、アジアを中心に市場成長が続くと見て韓国での業容拡大、台湾市場での展開強化、ODM事業などによる中国等での市場展開を推進し、美容室向けを主としたグローバル・ニッチ市場において世界トップの位置付けを目指す方針。
いずれも、将来の事業の柱となる新規事業の創出が不可欠との危機意識が背景にある。

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