【連載】大手化粧品会社の研究(70)AGC(旧旭硝子)の化粧品事業に関わる企業研究 ~北海道曹達を介して化粧品事業に新規進出~(上)

2019.01.15

特集

編集部

建築・自動車向けガラス等の大手AGC株式会社(旧旭硝子株式会社、東京都千代田区)は、化粧品分野に新規参入(2018年10月)した。化粧品事業は、同社の子会社「北海道曹達株式会社」(北海道苫小牧市)を通じて行うもの。旭硝子から硝子の文字を削除し、AGCに社名変更(2018年7月)して初の異業種参入となる。
中でもAGCは、北海道曹達を介して化粧品分野へ新規参入した理由として「AGCが社名変更を機会に独自技術を生かして新たな付加価値を生み出す多角化戦略の推進を成長戦略に据えた」ことに起因する。

一方、北海道曹達は、AGCが株式の過半数を取得して系列子会社化(2012年)する前の1994年に食用カニの殻の処理法として、カニ殻からキトサンエキス等の保湿成分を取り出す」抽出技術を開発。また、キトサンの抽出や加工技術を活かして細胞培養基材も開発するなど天然高分子のキトサン事業を手掛けてきた。
北海道曹達が開発した保湿成分「キトサンエキス」は、ヒアルロン酸の2倍の保湿性を持つ。キトサンエキスの特徴は、高い保湿性に加えて皮膜形成機能を持ち肌の表面に潤い膜を形成するなど。

こうした技術開発を生かして北海道曹達は、2008年に「キトローション」ブランドで、キトサンエキス含有の化粧水、乳液等を開発・販売した。しかし、化粧品販売は、販売不振で頓挫し消滅した。その意味で北海道曹達の化粧品事業進出は、今回で2回目で再チャレンジとなる。

AGCは、北海道曹達を介した化粧品分野参入について「新たな付加価値を生み出し成長分野として期待できる」として化粧品事業を成長戦略に位置付けて本格参入することを決断した。以下に、表・北海道曹達の会社概況を示す。

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