【連載】医薬・創薬企業の化粧品事業⑫全薬工業 ~スキンケア化粧品を薬局薬店等に直接販売~
2017.07.3
編集部
核酸医薬品などのバイオ医薬分野に新規参入した全薬工業株式会社(東京都文京区、設立1950年7月、未上場)は、創業間もなく「皮膚病薬研究会」を発足させ、皮膚病薬の原点から皮膚代謝、病理、薬理を追及してOTC医薬品や医薬部外品などと合わせて化粧品を研究開発しているのが研究開発センター(東京都練馬区)である。
化粧品の研究開発は、同センターの製剤研究グループと分析グループが中心となって、新製品開発や既存製品のリニューアルなどに取り組んでいる。
製剤研究グループは、ラボ機で処方設計などを検討後、分析、安全性研究で得られたデータから処方を最適化。また、分析グループは、製剤研究で得られた試料について有効成分の分散性や安全性、防腐効力などを評価するなどして、処方設計に反映させている。
特に、研究開発では、角質層に浸透した「ナノモイスチャー」の浸透によるナノ化セラミドの効果を実証するなど成果をあげている。
こうした同センターでの研究開発によって保湿成分のナノ粒子化をいち早く手がけた基礎化粧品「アル―ジェ」シリーズ(写真)やエイジングケア化粧品「ジュレリッチ」シリーズなどのスキンケア化粧品を開発した。
「アル―ジェ」は、肌の内側の渇きが肌コンディションに現れてくることに着目して、開発したもの。天然セラミドを配合したナノモイスチャー効果に特徴がある。
「ジュレリッチ」は、敏感肌・乾燥肌・不安定肌の方のために低刺激性と使用感にこだわり天然セラミドを配合している。
現在「アル―ジェ」と「ジュレリッチ」の2ブランドを市場展開しており「アル―ジェ」は22品目、「ジュレリッチ」は12品目をそれぞれ市場に投入・販売している。
この2つのスキンケア化粧品の販売チャンネルは、同社が直接、薬局・薬店、ドラッグストア等に対して直接販売している。また、「アル―ジュ」の通信販売に関しては、全薬工業の関係会社「全薬販売株式会社」(東京都豊島区)が担当している。現時点において化粧品の海外展開は行っていない。
同社は、スキンケア化粧品の販売強化策として「国内販売に力を入れる。当社のスキンケア化粧品は、敏感肌向けに用途がある。引き続き、肌悩みの方を対象にフアンつくりと安定した顧客としての取り込みを図っていく。また、商品の訴求力向上等に力を入れて拡販に繋げていく考え」としている。