【連載】化粧品各社のイノベーション研究【5】コタ株式会社②~美容室に直販と代理店ルートの2形態で販売

2015.12.9

特集

編集部

コタ株式会社は、自社開発のトイレタリー(シャンプー、トリートメントなど)や整髪料、カラーリング剤、育毛剤、パーマ剤などの主力製品を1492にのぼる美容室(旬報店)(2015年3月期)に対して、コンサルティング・セールスによる直接販売(直販ルート)と全国各地の代理店54社(2015年3月期)に販売する代理店ルートの2形態で販売している。
代理店へは営業第一部が担当。美容室は、第二部(全国各地にある11の支店・営業所)が販売を担当する体制を敷く。

同社は、取引先美容室のことを「旬報店」と呼ぶ。具体的には、美容室の売上高、来店客数、パーマ客数、年齢層等のデータを上旬、中旬、下旬の10日ごとに分析することから命名した。2005年からネットを利用した「WEB旬報店システム」を稼働させたが、営業データをもとにコンサルティング活動する独自の営業スタイルは、業界の中でも極めて稀有な存在といえる。

同社の主軸製品は、シャンプーやトリートメントなどのトイレタリー製品で、毛髪のダメージケアに対する消費者の関心の高まりから、高付加価値なトイレタリー製品へのニーズが増加。

こうしたニーズに対応して美容室の来店客に対する毛髪及びヘアケアのカウンセリング提案をベースに、主軸のトイレタリー商品「コタ アイケアシリーズ」を販売している。
同シリーズは、アルファベットタイプの商品を平成11年6月から平成15年5月までの間に6種類市場に投入。また、数字タイプの商品を平成24年2月に5種類投入するなど基幹ブランド品として美容室でのカウンセリングによる店販に力を入れて取り組んでいる。

このような新製品の開発は、研究開発部門のスタッフが製品分野ごとにチームを組んで推進。また、研究開発部門とは別組織で営業、企画、資材、生産など全部門のスタッフによる「製品開発委員会」を組織し、新製品のコンセプトから最終的な製品チェックまでを一貫して開発する体制を敷いている。特に、身体や環境に悪影響を与える成分を使用しないなど「安全・安心」をテーマとした新製品の開発意欲は高い。

引き続き、トイレタリーの販売を中心とした「店販」を戦術として成長・繁栄につながるさまざまな提案を美容室に行い、美容室の業績向上を図る。同時に、「美容業界の近代化」の実現を十分にサポートできる製品を提供していく方針。

人材育成にも力を入れている。年に2回のキャリア別研修で継続的に社員のスキルアップを支援。また、支店単位の勉強会、美容室向け各種講習会の講師養成など教育制度の充実に力を入れている。

コタパークスタジオそれを象徴するのが2014年12月に開所した教育研修施設「コタパークスタジオ」(写真)。同施設は、同社の営業社員や美容師、代理店営業社員などを対象に教育するもので、同社が飛躍を図る人材教育の場として重要な拠点となっている。

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