【連載】化粧品各社のイノベーション研究【15】ホーユー③ ~科学財団を設立し助成、毛髪・皮膚などの研究を支援~

2016.03.15

特集

編集部

ホーユーは、国民の健康で文化的な生活に寄与することを目的に1000万円の基金で、一般財団法人「ホーユー科学財団」を設立(2014年4月)し、国内の大学や研究機関などが取り組む毛髪研究に助成金を交付して研究支援に乗り出している。

総合研究所では、最新の科学技術を駆使して、毛髪の生理現象や色彩の科学・新原材料の探求などの基礎・探索研究をはじめ製品化、安全性、包装材料等に関わる研究(大学等との共同研究含む)を行い、多くの研究成果を特許化し、知的財産権として確立している。ま
た、総合研究所は、コンシューマ向けやプロフェッショナル向け新商品の企画・開発及び海外市場での新商品の企画・開発を行うマーケット本部とオンラインシステムなどを活用して技術、マーケット情報を収集・分析した上で、新製品の設計・評価、工場での試作品のサンプル試験等を行い、次世代の染毛剤を創生・開発し、市場に送り出している。

こうした自社の研究開発に弾みをつけ、次世代の毛髪科学・皮膚科学・薬理学・染色化学に関する研究を支援し、染毛剤の人体への機能性及び安全性に関する技術の向上を図りながら国民の健康と文化的な生活に寄与することを狙いに「ホーユー科学財団」を設立した。
無題研究助成の対象は、大学や研究機関で研究者が取り組む毛髪、皮膚、薬理、染色科学などの研究テーマを募集し選考委員会が評価・選定して受賞者を決定・表彰(写真)する。
助成金額は、総額500万円(1テーマ50万円から100万円)。助成期間は、1年間。これまで2回の募集(第1回・平成27年度=平成26年7月1日から9月30日、第2回・平成28年度=平成27年7月1日から9月30日)と、2回の助成金交付を行った。
第1回の研究助成応募件数は、72件で、この中から毛髪科学3件、皮膚科学7件、薬理学1件の合計11件を選び助成金の交付(100万円増額し総額600万円交付)を行った。また、第2回の研究助成応募件数は、72件でこの中から10件(毛髪科学3 件、皮膚科学4件、薬理学2 件、染色化学1 件)を助成金対象先として交付(助成金総額500万円)した。
平成29 年度(第3回)の研究助成募集は、2016 年6月頃にネットで告知する予定。

同社の財団設立による研究助成制度は、社内の研究開発部門に対して外部の研究機関がどのような先端技術を研究開発しているか、大きな示唆を与えると同時に共同研究への取り組みに弾みをつける動機になり得る。また、財団設立による研究助成制度を第3者の目から見ると、研究開発面から捉えた企業の研究開発に根差した社会貢献活動「CSR」ともいえる。

未公開企業がこのような研究開発面から社会貢献活動を実践しているのは、極めてまれなケース。同社が多くのステークホルダー(利害関係者)と協調して、社会貢献していく企業姿勢を明確化したものとして評価・注目される。

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