【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【38】ユフリサーチ① ~新規抗酸化剤「αリポ酸誘導体」を開発、特許取得~

2016.12.13

特集

編集部

株式会社ユフリサーチ(大分県大分市、社長 有田 眞氏)は、大分大学医学部で取り組んでいた新規合成リポ酸誘導体や新規合成グルタチオン誘導体を用いて、炎症性疾患やがんに対する新しい医薬品の開発、脱毛防止薬ならびに美白薬などの医薬用部外品原料の研究プロジェクトを社会に還元する目的で2010年6月に設立した大学発ベンチャー。

会社設立に伴う事業内容を医薬品、医薬部外品、化粧品の製造、販売とすることを基本に据え、第1弾の事業として大分大学と共同で「アルファ―リポ酸」(αリポ酸)の安定化を追求し、合わせてαリポ酸の効果を誘導した「αリポ酸誘導体」など新規抗酸化剤の開発に取り組んだ。

αリポ酸は、別名、チオクト酸とも呼ばれ、豚肉、牛肉、レバー、ほうれん草、ブロッコリー等の食品に含まれ、体内にも存在する含硫脂肪酸(ビタミン様物質)。
水溶性、脂溶性であるため、体全体の細胞に隅々に行き渡る。しかし、αリポ酸を化粧品などに配合するには、安定性が問題となっていた。
αリポ酸は、肌をすこやかに保つ重要な成分として知られているが、光、酸化、重合など溶液での安定性が悪く、更に分解が進むと悪臭を発生するなどの欠点があった。

そこで同社は、αリポ酸の安定化と機能性を向上させたαリポ酸誘導体(ヒスチジンジチオオクタナミド)の開発に取り組んだ。
αリポ酸の安定化と効果を図るため、αリポ酸の尻尾にヒスチジンを付け、更に亜鉛で還元させて活性化を図るとともに亜鉛でキレート化(挟み込む)させた。その結果、αリポ酸の安定性を解決し、還元性を持たせた活性成分「αリポ酸誘導体」の開発に成功した。

α-リポ酸誘導体は、αリポ酸をよりパワフルにした低刺激性で安定性のよい還元性・抗酸化成分。
このαリポ酸誘導体は αリポ酸とアミノ酸の L- ヒスチジンからなり、更に亜鉛で還元・キレート化させた化合物で、特異な還元作用でアンチエイジング作用を示すなどの特徴がある。

同社は、この新規αリポ酸誘導体の開発に伴う物質特許を2004年に日本、欧米、中国、韓国で取得するとともに、2010年に国内で用法特許(メラニン消去剤としてシミ、ソバカスを徐々に目立たなくする)を取得するなど権利化している。

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