【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【40】自然免疫応用技研① ~免疫細胞を活性化の糖皮質素材を開発、化粧品・食品等に販売~

2016.12.19

特集

編集部

自然免疫応用技研株式会社(香川県高松市、社長 河内千恵氏)は、小麦発酵抽出物「糖皮質」(LPS)素材の研究開発と糖皮質の化粧品、食品等への応用を中心とした技術開発型ベンチャー。

河内社長が大学で永年研究してきた免疫細胞「マクロファージ」の活性化に関わる研究過程で、小麦粉の中にマクロファージを活性化する物質があり、小麦に共生しているパントエア菌という微生物の一部分の物質が糖皮質(LPS)であることを発見した。

この植物発酵抽出物の「糖皮質」(LPS=リポポリサッカライド)という物質が、全ての生物に共通して体を守り免疫細胞「マクロファージ」を活性化すること。同時に、種々の疾患の予防改善効果があることを発見した。
植物発酵糖脂質は、植物に共生する菌を発酵の技術で培養してできた糖脂質素材のことを意味する。

この糖脂質素材の発見と発酵・培養技術の確立を契機にして、2006年7月に「植物発酵糖脂質の研究と事業化」を目的に会社を興した(起業)。

以降、現在では、素材メーカーの立場で、糖皮質(LPS)を利用して開発した化粧用・食品用、肥料用LPSなどの機能性素材の開発・販売と、糖皮質素材を応用して開発・商品化した自社ブランドコスメ等の製造・販売を中心に事業を展開している。

事業展開にあたって同社は、酒造メーカーに協力を仰ぎ、パントエア菌を発酵培養。その培養液から糖皮質を抽出し「植物発酵糖脂質素材」(小麦発酵抽出物)」を作った。

この食品用LPSの販売にあたって外部機関に依頼し、安全性の試験を徹底して行った。大量に食べた時に危険性はないか、長く食べて成長に異常はないか、臓器に異常が見られないか、皮膚につけたとき、目に入れたとき刺激がないか等、厳しい安全性試験を実施して市場に投入した。
この第1弾として商品化した食品用LPSを食品メーカーなどが購入して飲料水に混合する一方、顆粒状のサプリメントやお茶などに加工して使用している。以後、化粧用LPS、肥料用LPS等を相次いで商品化して市場に投入した。

化粧用LPSとして商品化したのは、小麦を小麦に共生しているパントエア菌で発酵させた培養液からLPSを抽出、及び米糖を稲パンストア菌で発酵させた培養液からLPSを抽出した液体品などを化粧品メーカーや原料商社などに販売している。

販売にあたっては、検査・試験機関等で化粧品LPSの染色体や糖皮質のアトピー性皮膚炎、毒性試験などを行って安全性を実証している。糖皮質の細胞活性に関するデータを図に示す。
自然免疫応用技研「糖皮質の細胞活性データ」

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