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④化粧品分野に異業種から累計110社参入

1990年代から2018年3月までの約28年間に異業種から化粧品分に新規参入した企業数は、富士フイルム株式会社(東京都港区)や酒造メーカーの日本盛株式会社(兵庫県西宮市)など累計で約110社に上ったことが美容経済新聞社の調査で明らかになった。

花王株式会社(東京都中央区)の株式会社カネボウ化粧品(東京都中央区)の買収は、化粧品業界の有史以来、最大の買収劇として業界に大きな一石を投じるなどイノベーションの波を起こした。また、先発組の代表格ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、化粧品事業が総売り上げの66%を占めるなど化粧品事業の成功を象徴している。
このロート製薬の化粧品事業の成長に触発された格好で医薬品メーカーをはじめスーパーやコンビニ、百貨店などの流通小売り、ドラッグストア、酒造メーカーなどが独自のブランド「プライベートブランド」(PB)化粧品を引き下げて参入。今もなお異業種からの化粧品分野参入が相次ぐ。特に、この1~2年は、後発組としてアパレル分野からの参入が目立つ。

アパレルを中心に多角事業を展開する株式会社オンワードホールディングス(東京都中央区)は、2017年2月にオーガニック化粧品の販売会社「株式会社ココバイ」(東京都渋谷区)と製造会社の「イノベートオーガニクス」(カリフォルニア州)2社の株式を取得(買収)して子会社化し、化粧品分野に新規参入した。
ファッション事業の効率化を図り、化粧品事業との相乗効果を発揮しながら5年後にも化粧品売上高100億円(小売りベース)を目指す。
同社が買収した2社は、いずれも、天然由来の成分を使ったヘアケア商品や化粧品を日米市場で「ザ・プロダクト」の統一ブランドで展開し、オーガニック志向の顧客層およびヘアスタイリスト等のプロフェッショナルから高い支持を得てきた。

買収を契機に同社では、メンバーシッププログラム「オンワードメンバーズ」との連動やEC サイト「オンワード・クローゼット」での展開などを通じた顧客とのダイレクトコミュニケーションの強化を進める。同時に、104社にのぼるグループ企業の国内外ネットワークを活用して、百貨店や専門店などへの販売経路の拡大やアジアを中心としたグローバル展開などに取り組み、シナジーによる事業拡大を図る。中期目標として化粧品事業を100億円の大台乗せを狙う。

アパレル会社で1部上場の株式会社TSIホールディングス(東京都港区)は、2016年5月にイスラエルの日本法人「ラリンジャパン株式会社」(東京都港区)の発行済み株式70%を取得して子会社化した。
TSIがラリンジャパンを買収したのは、コスメ市場の中でもオーガニック・自然派化粧品の成長が期待できるマーケットであると判断したことが主因。

化粧品市場が成熟する中で、既存事業と相乗効果を狙った化粧品分野への参入が引き続き継続した動きを見せるのは必至の見通し。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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