〇解説記事④人工皮膚化粧品の研究開発に力 ~資生堂、米社技術を導入し、人工皮膚化粧品開発へ~(Ⅲ)

2019.09.25

特集

編集部

株式会社資生堂(東京都中央区)は、米子会社「資生堂アメリカ」を通じて米ベンチャー企業「オリボ・ラボラトリーズ」(マ
サチューセッツ州、2015年設立)を買収(2018年1月)し、人工皮膚化粧品分野に参入した。
同社が明らかにしたところによると、「セカンドスキン」(写真)と呼ばれる人工皮膚形成技術の特許を保有する「オリボ・ラボラトリーズ」を特許と人工皮膚関連事業を含めて買収したもの。買収額は、未公表。
すでに資生堂は、オリボ・ラボラトリーズの研究開発チームを資生堂アメリカに移籍し、技術サポートしながらセカンドスキン技術や化粧品への応用開発等に乗り出している。

「セカンドスキン」は、40~70マイクロメートル(0.04~0.07mm)と極薄で透明。ポリマーベースのクリームを肌に塗り、その上から専用の乳液を重ねて塗ると、肌の凸凹が自然と修正され、肌と一体化した人工皮膚を形成する。
健康な肌の上に人工皮膚を形成するため、肌への負担が小さく免疫反応のような心配も少ない。また、肌にバリアを作りながら、さまざまな美容成分を肌に届けることもできる。さらに、弾力性に富み、通気性もある上、水に塗れても問題はないなどの特徴があり、瞬時にシワを隠せる即効性のある化粧品を開発できるのがミソ。

同社は「瞬時にシワを隠せるという革新的技術であり商品化に5年も10年もかけるつもりはない」として新たな化粧品ジャンルを創出する意気込みで、商品開発に取り組む。
商品化は、美容液などのスキンケアや日焼け止めなどをターゲットに開発する意向で、しわを改善するアンチエイジング化粧品のニーズが高い日本や米国、中国などグローバルに事業を展開する方針。

同社は2020年を最終年とする中期経営計画を進めており「世界で勝てるグローバルビューティーカンパニー」を目標に掲げて新たな美容事業の開拓に積極的に取り組んでいる。2017年には肌質の解析技術を持つ米マッチコーや人工知能(AI)関連の米ギアランを相次いで買収した。
今度のオリボ・ラボラトリーズの買収も人工皮膚形成の要素技術を導入して次世代化粧品の開発に繋げる狙い。

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