【連載】この中小化粧品会社に注目㉘ホルス(上)~化粧用等の原料・プラセンタ開発、製法特許取得~
2020.11.30
編集部
化粧品や医薬部外品等の原料「プラセンタ」(牛、豚等の胎盤から抽出した成分)を開発・製造・販売する「株式会社ホルス」(東京都中野区、1990年設立)は、化粧品のOEⅯ製造と卸・直販を担当している「株式会社日本天然物研究所」(東京都中野区)及び化粧品・健康食品等の製造・通販を担当しているブラン製薬株式会社(東京都中野区)の3社でグループを形成する。いわば化粧品や食品をフィールドとする原料メーカーとしての事業に加え、その原料を使って化粧品を開発・生産・販売する化粧品メーカーでもある。さらに、開発力を求める企業から依頼を受けて商品を開発・生産する相手先ブランド生産「OEⅯ」(Original Equipment Manufacturing)・相手先ブランド設計生産「ODⅯ」(Original Design Manufacturing)企業でありこの3つの柱をベースに事業展開している総合力に特徴がみられる。
原料メーカーのホルスは現在、10種類の馬、豚、牛等の動物由来プラセンタ(原料)を代理店を通じて化粧品、健康食品等向けに販売している。
10種類に上る原料の中で中軸製品になっているのが発酵熟成プラセンタ(写真プラセンタエキス)である。同製品は、モンゴルの大自然で健康に育った馬の胎盤から凍結酵素抽出法(胎盤を凍結させることで成分を安定化させ、有用成分の高濃度抽出を行う方法)で、抽出したプラセンタエキスを酵母・黒糖でじっくり発酵させた後、さらに熟成させて作った。
発酵・熟成させることで、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの有用成分を増加させる一方、発酵条件を見直すことで、有用成分から「水」の表記をなくし、美容成分を表記することを可能にするなど保湿効果・エイジングケア作用等の美容効果が期待できる。特に、水の代わりに同プラセンタエキスを使用することで、美容成分豊富な化粧品としての位置づけを可能とした。
発酵熟成プラセンタエキスのエビデンスとして同社は、チロシナーゼ阻害活性率を測定したところ、従来のプラセンタエキスの阻害活性率が72%だったのに対し発酵プラセンタは83%と11%上昇したことを確認するなど、美白効果に優れていることを証明した。また、肌水分量測定では、従来のプラセンタエキスと比較して約40%増加するなど保湿効果が明らかになった。発酵熟成プラセンタエキスの製造方法は、新規性が認められ特許を取得。また、豚 由来の発酵熟成プラセンタは、医薬部外品(添加剤)用の原料として承認されている。
一方、発酵熟成プラセンタと並んで製法特許を取得したのが油溶性プラセンタエキス。
原体を持たない高品質プラセンタ「SPF」(Specific-Pathogen- Free =スペシフィック・パソージェン・フリーの略で特定病原体不在という意味)豚や馬由来の胎盤からオリーブ油を使用して抽出した原料。プラセンタを油溶性にすることで、クレンジングオイルやリップクリームなどの油性剤型やファンデーションなどのメイクアップ化粧品に配合することを可能とした。