豊胸手術にも応用が進む幹細胞を利用した「再生医療」
2013.10.1
編集部
脂肪組織由来幹細胞移植による再建手術が安全で有効であったことが、1823年に英国で創刊、世界五大医学雑誌の一つにも挙げられる「The Lancet」オンライン号に27日掲載された。
脂肪組織由来幹細胞移植とは、乳がんや乳腺切除の手術後の乳房再建などに用いられる再生医療のひとつ。患者自身の脂肪に脂肪組織から抽出した幹細胞を併せて注射することで、脂肪のみの注射より脂肪の生着率が高く、長期的に効果が持続する。
今回の研究では、移植用の脂肪細胞を一旦濃縮してから注射することで、さらなる効果を確認できたというもの。ボランティア10人による試験は、脂肪細胞を上腕後部に皮下注射した121日後の脂肪生着の調査を行った。脂肪の残留率で計測したところ、濃縮脂肪細胞注射群は80.9%、非濃縮脂肪細胞注射群は16.3%で、濃縮脂肪細胞を使用した群の脂肪生着率が大幅に高かった。重篤な有害事象は見られなかったため、研究者らは、「再建術に細胞ベースの注射を用いることは、低侵襲再建療法で成果を向上できること」と述べ、今後のさらなる研究に期待している。
また、脂肪組織由来幹細胞移植は豊胸術への応用も進んでいる。
従来のヒアルロン酸注入法は持続効果が1-2年と短く、シリコン挿入法では見た目やさわり心地に不自然さがあった。濃縮脂肪の注入では生着率が50-60%でやや長期的と考えられていたが、「濃縮脂肪+幹細胞」の方法で生着率は80%を越え、豊胸の長期的効果が認められたことになる。