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㊿かならぼ(下)~新たなプチブランドに躍り出るか~

「かなえるラボラトリー」をビジョンに掲げてプチプラコスメ会社を設立した「かならぼ」は、「欲しいをかなえる」をコンセプトとしたブランド「フジコ」、「夢をかなえる」をコンセプトとしたブランド「ビーアイドル」に続く第3、第4のコスメブランドを打ち出して新商品を市場投入するなど活発な事業展開を見せている。

同社は、「忙しい女性の心と時間の余裕をかなえる」をコンセプトに第3のコスメブランド「ヨユー」(4U)と第4のブランド「メンコス」を相次いで立ち上げた。
ヨユーブランドのアイテムとして天然泥と植物由来の洗浄成分を採用し、シャンプー・コンディショナー・トリートメントを1ステップで実現する「ヘアクレンズパック」を2020年6月に販売した。また、第4のブランド・メンコスのアイテムとして日焼け止めの代わりに使えてニキビや肌荒れを隠せる「日焼け止め兼ファンデーション」を商品化し販売した。

しかし、同社の新商品開発は,同社の代表的なブランドとなっているフジコブランドのアイテムが中心。
「おでこ」の生え際にシャドウを入れることで、小顔効果を狙う「デコシャドウ」(2020年9月販売=写真左)やリップライナーとパームを一体化した「あげリップ」(2020年11月販売、特許申請中=写真右)など。

ともあれ、同社は、高い企画力を武器に、スピード感を持った商品開発を実現。同時に、商品に合ったツール活用と販路選び、プロモーション活動など小粒(社員約11名)だがピリッと辛い一味を持つベンチャーセンスで、新たなブランド創出、フアンつくり等の潮流を巻き起こしている点に特徴がみられる。

消費者の価値観が多様化し化粧は「美しく魅力的に見られるよう装う」という目的から「自分の気持ちを高めるもの」に変化しつつある。
コスメのトレンドとして高級ブランド品への信奉が薄らぐ一方、プチプラコスメは、群雄割拠の状況にある。その中で、同社が掲げるプチブランドコスメは、女性の「なりたい」を実現する新風を送る新たなブランドとして躍り出る可能性を秘めている。
事業展開において商品の企画開発、販売チャネルの確立等小回りとスピード感を生かした取り組みがみられる。が、今後、商品の信頼性向上や購買層に合わせた商品開発と品質向上、商品の安全試験とエビデンスの公表、販売チャネルの深堀など多くの課題に対応した具体的な施策が望まれる。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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