ソーシャルメディアで非常に人気を集めているこの方法は、自宅で行う新しい保湿ルーティンとして世界中で支持を得ています。施術の一部に取り入れることで効果を高めることができると、美容医療を専門とするDr. Agnès Semardは説明しています。
SKIN FLOODINGとは何か?
直訳すると「肌の洪水」という少し奇妙な表現ですが、専門家にとってはよく知られた概念である保湿を意味します。
「長年にわたり、皮膚科医や美容の専門家たちは、健康で輝く肌を保つためには保湿が最も重要であり、外的・内的要因からのダメージに対しても防御力を高めることを理解してきました」とDr. Semardは語ります。
「研究機関は常により高性能な保湿処方の開発を進め、この分野では大きな進歩がありました。ただし現在分かっているのは、それだけでは必ずしも十分な結果を得られるわけではなく、理想的な保湿を実現するためには製品の塗布方法が処方の質と同じくらい重要だということです」
保湿をさらに深めるアプローチ
この考え方から生まれたのがSkin Floodingで、保湿の概念をより一歩進めたものです。異なる保湿アイテムを重ねて塗布することで、肌の細胞に水分を閉じ込め蒸発を防ぐ仕組みです。これにより角質層だけでなく、表皮のより深い層の状態も改善し、期待できる効果は多岐にわたります。肌の透明感やなめらかさが増し、小ジワやシワが目立たなくなり、さらに新しい有効成分を十分に活用できるようになります。
SKIN FLOODINGの実践ステップ
Skin Floodingの大きな利点は、そのシンプルさにあります。複数の製品を重ね塗りするだけで、いわば「化粧品のミルフィーユ」を作るような感覚です。唯一の注意点は、対象となる肌に合ったテクスチャーを選び、適切な順番で重ねることで成分の相乗効果を引き出すことです。
「一般的にSkin Floodingでは、保湿成分を豊富に含んだミスト、分子量の違いによって浸透度が異なるヒアルロン酸を配合したセラム、さらにバリア効果や鎮静・保護作用を持つナイアシンアミド入りのセラムを組み合わせます」とDr. Semardは説明します。
ミストとセラムの使い方
基本ルールは、まずメイクを落とし清潔な肌に整えることです。その上で顔全体から首まで、保湿や鎮静効果のあるミスト、あるいはローズウォーターやオレンジフラワーウォーターなどをたっぷりとスプレーします。余分な水分を軽く吸い取った後、肌がまだ湿っている状態で最初のセラムを塗布します。水溶性で浸透が早いヒアルロン酸入りのセラムが細胞に水分を運び込み、定着させます。
さらなる重ね付けのステップ
数分後に再びミストをスプレーし、その後ジェル状のテクスチャーを持つ2つ目のセラムを塗布します。これにより、肌表面に水分蒸発を防ぐフィルムが形成されます。
2種類のセラムは同じブランドのものを選ぶことが望ましく、相乗効果を高め、成分同士の不適合を避けることができます。表皮が十分にこれらを吸収したら、最後にもう一度ミストをスプレーし、必要に応じてジェルまたはクリームタイプの仕上げ用ケアを行います。
プロフェッショナルケアにおけるSkin Floodingの効果的な活用
Skin Floodingはサロンで行うさまざまな施術に簡単に組み込むことができます。
「理想的には、肌を柔らかくし微小循環を促進するマッサージの後に、この“スーパー保湿”セッションを行うのが良いでしょう。これにより肌は保湿成分を特に受け入れやすくなります」とDr. Semardは助言します。さらに、施術前の洗浄に角質を整えるピーリングを含めると、より効果的です。
保湿プロセスの仕上げとして、クリームの代わりにマスクを使用することも可能です。ただし、選ぶのはクリーム状で被膜効果を持つ処方が適しています。これにより蒸発防止の役割を果たします。一方、収れん作用のあるクレイベースの処方やシートマスクは推奨されません。ナイアシンアミドのバリア機能が働くことで、これらのマスクに含まれる保湿成分の浸透を妨げる恐れがあるためです。
さらに、各ステップで多量の製品を使う必要はありません。
「過剰は時に逆効果を招きます。大切なのは肌に成分を“詰め込む”ことではなく、有効成分の流出を防ぐことです」とDr. Semardは強調します。実際には、ほんの少量のセラムで十分に肌をふっくらとした印象に導くことができます。
あらゆる肌に適した方法なのか―Skin Floodingの可能性
Skin Floodingのメリットは、乾燥肌や水分不足の肌においては明らかです。しかし、あらゆる状況で適用できるのでしょうか。
「ここが大きな議論の対象です」とDr. Semardは認めます。一部の専門家は、皮脂の多い肌ではトラブルを招きかねず、吹き出物などの不調を増やす恐れがあると考えています。また、敏感肌の場合、多数の成分を重ねることで反応を起こしやすいという指摘もあります。
しかし実際には、どのような肌質であっても脱水のリスクを抱えており、この方法から恩恵を受ける可能性があります。バランスを取るための鍵は、少量のセラムを用いて過剰負担を避けること、そして何より肌質に合った処方を選ぶことです。これらを守れば、Skin Floodingはポジティブな効果だけをもたらします。
自宅でのSkin Flooding
日常的に自宅でSkin Floodingを実践する場合は少し事情が異なります。多くの女性はどうしても使用量が多くなりがちで、その結果、長期的には肌のバランスを崩すことがあります。そのため、顧客に正しい使用量や手順を伝えることが重要です。
自宅ケアでの簡単な工夫
「簡単な工夫として、セラムのボトルやクリームのチューブは最低1か月分のケアができる量を目安に使用するよう説明することです」とDr. Semardは助言します。このひと言で顧客は自動的に節約を意識し、過剰使用による肌トラブルを避けられるようになります。
Skin Floodingが効果を発揮する季節と環境変化
冬の低温によって乾燥が進みやすいのは事実ですが、脱水は一年を通して頻繁に起こる現象です。そのため、顧客に対し水分レベルを高めるよう提案するのは良い習慣です。特に季節の変わり目や夏の時期には効果的です。
「気温の変化、つまり暖かい環境から寒冷な環境、またはその逆への移動、さらに日光への曝露も脱水のよく知られた要因です。肌に水分と保湿成分を十分に補給し、蒸発を防ぐことが、くすみを防ぎ、小ジワやシワを抑える最良の戦略です。これらは多くの場合、水分不足の結果にすぎません」とDr. Semardは説明します。
この戦略はフェイシャルケアにとどまらず、他のケアにも応用できます。特にデコルテは表皮が薄くシワが入りやすいため、ふっくら感を与える効果が期待できます。また、外的刺激を受けやすい手の甲では、保湿と同時にシミ対策としても役立ちます。
サロン施術の効果を高めるSkin Floodingの活用法
この施術法は、ケアの結果を目に見えて、かつ即座に高めることができます。顧客はすぐに効果を実感できるのです。さらに美容の専門家にとっての大きな利点は、顧客に正しいケア方法を伝え、少量の製品で最大限の効果を得る方法を示すことができる点です。これは製品の無駄を防ぐだけでなく、専門家としての知識や技術をさらに際立たせる新しい価値提供の形ともいえます。